6話 家族と友
俺はIPOから出てリビングに向かった。そこには俺の2歳年下の妹である佐藤史織が居た。
「あ、お兄ちゃんもIPOやってるんでしょ?今度フレンドになろうよ」
「はぁあ?」
「え、だからフレンドなろ?」
「ちょっと待て。え、どうやって買ったんだ?」
「パパが買ってくれたよ。誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントの前借りで」
おいおい。俺の3年間の努力は一体何だったんだよ!あのクソ親父、後で問いただしてやる!
「はぁ、分かった。明日な」
「ログインしてまだフレンド居ないでしょ?感謝してよ」
「フレンドは居ないけどNPCの女の子とは仲良くなったから良いもん!」
「ボッチ」
「うっさい!それにしてもお前戻って来るの早くないか?」
「お金無くて宿取れなかったからリアルに戻って来た」
「へ〜」
「掲示板やばい事になってるね。テイマー達が連携して1人しか居ないサモナーを探してるらしいって」
サモナーって俺だよな?これは俺を探してるって事ね。狙いは多分堕天した卵だろうな。絶対やらんぞ!ちょっと掲示板を見てみる。これは、孵化の直前までログインしない方が良いな。
「お兄ちゃんはなんでやめて来たの?」
「宿題やってないから。明日月曜日だろ?」
「あ!私もやってない!完全に忘れてたわ〜」
「俺は宿題をやるから邪魔するなよ」
俺は宿題を終わらせ、夜飯食って、風呂入って寝た。
翌日••••••。
俺は今高校に居る。今日は終業式の前日なので午前しか授業がない。だから、堕天した卵の孵化の瞬間を見る事ができる。やったぜ!それにこれから夏休みだから毎日ゲームできるぜ!
「潔!お前もIPO買ったんだろ?フレンドになろうぜ。他の奴も噴水に集まってフレンドになるからさ」
俺に話しかけて来たこのイケメンは中学校からの仲の高須竜だ。
「え〜」
「なんだよ?良いだろ?」
「はぁ。3時過ぎなら良いぞ」
「了解した。みんなが集まるのは4時くらいだから安心して良いぞ。それより、職業何にした?俺はガンナーにしたぞ」
ガンナーって確か不人気職業ランキングの上位3つに入っていたよな。
「なんだ。仲間がこんな近くに居たのか」
「潔もガンナーなのか?」
「いや。不人気職業ランキング上位職って事だ」
「ガンナーじゃないって事はテイマー?」
「いや、1位だけれども?」
「1位1位ねって、えぇ!1位!?サモナー!?1人しか居ないあの!?」
おいおい、声が大きい!他の奴に聞かれたらってかもう聞かれてるし。
「一応言っとく堕天した卵はやらんぞ?今日の3時くらいに生まれるからな。楽しみだな〜」
「俺にも見せてくれよ〜。友達じゃないか」
「別に良いけど3時までにゲーム内で俺を見つけれたらな。まぁ無理だと思うけど。今もテイマー達が俺を探してるけど見つかんないだろ?」
俺の畑はフレンドしか入れないから完全防御フィールドになってる。
「くぅぅ!」
「あ、情報拡散したらGMに垢バンしてもらうからな。誰にも言うなよ」
「分かった。ヒントくれ」
「仕方ないな。俺のキャラは白髪青眼だ。顔は無料の120パーセント美化しか使っていない。そしてまだ1回も街から出た事がない」
「ほうほう。なるほど」
「他の奴が俺を見つけても見せないからな。竜だけだぞ」
俺は竜から離れると竜の周りに男女20人くらいが集まり「後でスクショ見せてくれ」などの要望の嵐に襲われていた。一緒に買いに行ったのかな?10万台しかなかったと思うから普通こんなにいないと思うし。