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強い魔物=美味しい血?

この第5部は修正済みです。


あれから二日経った。

その間私は洞窟には留まらず、新天地に向かって歩みを進めていた。何故今まで住んでいた洞窟を捨てたかと言うと、あの狼モドキの一件から洞窟の周りに狼モドキが大量に現れるようになったからだ。これはもう考えられることが一つしかない。

それは仇討ちだ。

いくら狼モドキでも仲間意識が相当あるらしく、まさかここまで根に持つなんて思いもしなかった。

こうなると分かっていればあの逃げた狼モドキを無理に追ってでも倒した方が良かった。

おかげで私は家を追い出され家無し状態だ。 それにあんな場所にずっと留まる馬鹿はいない。

留まるやつは身の程知らずの馬鹿か、狼モドキをどうにか出来る程の実力者だけだ。


それからかなり歩いてはいるのだが一向に周りの景色が変わるような気配がない。


「はぁ~……どこ行っても木ばっかりじゃん」


早く新しい拠点を作らなければ行けないというのにどこに行っても木ばっかりだ。これでは襲って下さいと自分から言っているようなもんだ。

だが良いこともあった。

それは新しい【スキル】を覚えたということだ。今回覚えた【スキル】は『気配遮断』と『気配察知』の2種類だ。どちらも周りに警戒しながら歩いていたらいつの間にか獲得していた。

最初は隠れんぼで天下が取れそうな【スキル】だなと過小評価していたが、これがとても有用な【スキル】だった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

スキル名:『気配遮断』

自身の気配や足音、匂い、心音などを消すことが出来る。

暗殺者向けのスキル。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

スキル名:『気配察知』

半径五十メートル以内にいる相手を瞬時に察知出来る。

尚このスキルはスキルレベルによって有効範囲が大きく拡張する。

暗殺者向けのスキル。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


と、まあこんな説明をステータス表をまじまじ見ていたら見つけた。見つけたと言っても【スキル】や【技能】、【称号】などで気になった物を集中して見ていたらドンと目の前に説明が現れただけだ。

だが、これは予期せぬ発見だったので少しばかり「えっ……」とその場で固まってしまった。

固まった理由としては単に嬉しかっただけで特に理由という理由は無い。

そこで私は改めて思ってしまったのだよ!なんて便利な世界なんだろうなって!

何でこの世界に転生したのかは不明だけど転生を促してくれた神がいるのならば感謝したい程だ。顔も知らない両親や友人には悪いけど私は今これほどまでに楽しいと思ったことはない。

たかがステータス表の詳細が分かるようになっただけなのだが、これはこれからの異世界生活で重要になってくる存在だ。

異世界生活序盤で良いものを見つけた私は上機嫌だった。

試しに『気配察知』を使ってみると、ステータス表のような半透明な円形のレーダーチックなものが出できた。

そこには十数個の点が私を中心として疎らに点在していた。


「……」


それを見た瞬間私は即座に理解した。

何を理解したのかは言うまでもない。

急いで戦闘態勢を整えようとした瞬間私の顔の横を何かが物凄いスピードで通り過ぎた。あまりの速さだっため一瞬何が起こったのか分からなかったが、後ろを振り向くとそこにはカラス程の大きさをした鳥がバサバサと飛んでいた。

嘴の中にはギザギザとした歯が何層にも並んでおり、足には狼モドキのような鋭い爪が四本並んでいた。

明らかに魔物だ。

私は氷の短剣を右手に構えた。だがこんな武器ではこのカラスモドキのスピードに対応出来ない。

目で追えない相手をどう倒せって言うんだ!無理ゲーにも程がある!

今私を取り囲んでいる魔物は明らかに狼モドキよりも上の存在だ。それが十数匹となると相当やばい。

今『気配遮断』を使っても良いが、敵に見られている状態でも使えるものなのかは分からない。でもそんな悠長なことを言っている暇はないので、私は即座に『気配遮断』を使った。

そして……私は後ろを振り返らず、全力で走った。

何故後ろを振り向かずに走ったのか……それは敵が追ってきていないかと後ろを度々振り向きながら走ると失速する可能性があり、転ぶ可能性もあるからだ。なるべくあいつらの目から逃れ、身を隠す。それが今この危機的状況を打開する唯一の策だ。

それから私はひたすら走った。どれくらい移動したのか分からないぐらい全力で走った。そして、力尽きて地面に倒れてしまった。

息が上がり、足が疲れで震えている。地球でもここまで全力で走ったことはない。

だが今ここで全力を出さなければ殺られていた。

そう思えるほどの敵の力量と数だった。


「私って無力だな……」


ここまで自分の無力さを悲しんだことがあっただろうか?そう思えるほどの悔しさが心の奥底から込み上げてきた。

私は悔しさ、恐怖で今にも泣きそうになったが、目から零れ落ちそうな涙を荒々しく腕で拭った。

それはこれからもっと大変なことがあるかもしれないというのに今ここで泣くのはダメだと思ったからだ。

異世界は地球とは違いとても命が軽い世界だ。それを絶対に忘れてはいけないと私は心に決めた。


それからしばらくして私は落ち着きを取り戻した。『気配察知』には何一つ反応がない。どうやら上手く巻けたようだ。あの時は正しい決断を瞬時に出せて良かった。もう少し判断が遅ければ私の異世界ライフが早々に終わっていたかもしれない。

『気配察知』と『気配遮断』はあまり魔力を食う様子もないし常時発動させておいた方が無難だな。さっきみたいにならないように気をつけねば命が幾つあっても足りない。


「今私がやるべき事は大体三つかな? 拠点と食料とあのカラスモドキの対処……。拠点はともかく食料とカラスモドキの対処は難易度高すぎて直ぐには無理そうだ」


拠点作りはもう過去に一度やっているので簡単なのだが、良い場所が見つかるか見つからないかで決まってくる。それに拠点を探している最中カラスモドキに出会う可能性も無きにしも非ず。無論『気配察知』と『気配遮断』は常時発動させいるので私に奇襲というものは通用しない。

後は食料問題だ。食料は狼モドキでも捕れたら良いけどここら辺には何かいなさそうな気がする。これは私の感みたいなものだけど実際合っているかも知れない。何故かと言うと狼モドキが自分よりも格上の強い相手がいる所にわざわざ縄張りを作るという行為をする訳が無いということだ。

狼はとても賢い。ならば自分達よりも格上の相手との戦闘を避けるのが道理だ。

となるとカラスモドキとの戦闘はほぼ不可避なのかもしれないな。


「まずは拠点作りだ。今回は別に洞窟じゃなくても良いからなるべく安全そうな所を探さなくちゃ一瞬で殺られそうだな」


今の私のレベルは5。全ステータスが初期数値の倍以上になっている。おかげで今まで一振りが限界だった『氷魔法』で作る氷の短剣は今では二振り同時に作れるようになった。

そして『氷魔法』のスキルレベルが一つ上がり二になった。スキルレベルが一つ上がっただけで氷の強度や質、熟練度が格段に上がった。分かりやすく言うと約二倍程度『氷魔法』の性能が上がった感じだ。

ここまで来れば新しい武器が作れるかも知れない。

そしてあのスピードのカラスモドキを倒せる武器は飛び道具だ。飛び道具は相手にとどきさえすれば倒せる。まあ後は私の命中精度だけだ。それがしっかりと出来ないと相手になんか当たらない。それも目で追えるか追えないかの狭間にいるカラスモドキなら尚更だ。

あれはやばかった。例え不意討ちとはいえ目で追えなかったことには変わりわない。生物があそこまで早く移動できるなんて流石は異世界だ。

取り敢えずカラスモドキ等を倒せるような武器を作らなければ安心して眠れない。それと食料も調達しなければな。 あのカラスモドキは狼モドキよりも強いことからかなり美味しい血を期待しても良いだろう。

強い魔物=美味しい血という認識はありかもしれない。でもまだ私は狼モドキの血しか飲んだことがない。たったの一種類だけでは強い魔物ほど美味しい血を体内に流しているという判断材料に欠けている。

だからなんとしてでもカラスモドキの血は飲んでみたいものだ。


「そのためにもまずは飛び道具作りをしなくちゃね」













次回!飛び道具……です。

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