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お前は悪魔か!

修正終了済み

円形の机に椅子が七脚備え付けられていた。その椅子は既に六つ埋まっている。

今ここにいる者達は魔王の剣(シルヴァーナ)と呼ばれている魔王直属の幹部達だ。

そんな魔王直属の幹部達はイライラと腹を立てていたり、居眠りをしていたり、楽しそうに談笑していたりする。


この者たちは決して暇ではないのだが、こうして魔王城の一室で顔を合わせていた。

普段は各戦場で戦っている為、こう全員が会うことはあまり無い。

では何故この幹部達は一室に集まっているのか……それは魔王が呼んだからだ。


「俺らの主様はいつ来るんだよ! とっくに刻限を過ぎてるぞ!」


「相変わらず短気なこと。少しはサラスを見習ったらどう? そしたらその怒りっぽさも治るんじゃない?」


「あいつはただ呑気なだけだ!」


この言い争っている二人はガルドとリファだ。

お互い魔王によって選ばれた者のため、実力は確かだ。だがガルドは怒りっぽいと有名な鬼怒族であり、リファは相手を無意識に挑発してしまう悪い意味で得意な挑魔族だ。

怒りっぽいガルドと無意識に挑発をしてしまうリファ、この二人に一番合う言葉を授けるとしたら「混ぜるな危険」だろう。


その言い争いを見ている他の幹部達は「またか」と呆れていた。

もはやガルドとリファが争うのは毎度毎度の事なので今や誰も止めようとはしない。

過去に一度止めに入った勇気ある魔族がいた。その魔族は止めに入った瞬間ガルドの剛腕で空高く打ち上げられ、追撃にリファの『火炎魔法』をモロに食らい、二ヶ月の間ベットの上でシクシクと暮らした。

なので誰も止めようとはしない。

止めようとしても新たな犠牲者が出るだけなのだから。


「すまない、少しばかり遅れてしまった」


ガルドとリファがバチバチと火花を上げていると、唐突に扉が開き、そこから魔王と秘書のメラが入ってきた。


「時間は守ってくだせぇ主様。俺は忙しいんで」


「あら? 忙しいのはあなたではなくて私達の方ではないのかしら?」


「あぁ!」


一旦収まったかと思えばまた火花を上げる二人。それを見た魔王は「静かにしろ」と一声かけた。

するとガルドとリファは渋々睨み合うのを渋々止めた。


「今回お前達を呼んだのはこれから起こるであろう戦争についてだ。今我々は三っつの国と戦争をしている。それはどれも人間族の国だ。人間族は我々よりも圧倒的に数が多いい。いくら我々に強い奴がいてもいずれは倒されてしまう。つい先日もリファの小隊長が騎士団に殺られたらしいな?」


「はい」


「その者の後を継げる者は今現在いるか?」


「一人だけおります。ですが……」


リファは言いずらそうに下を俯く。


「何だ? 言いずらい事なのか?」


「言いずらいと言えば言いずらことなのですが……その者には少し欠けている部分がありまして……」


「欠けている部分だと? それは何なのだ?」


「知力です……。腕は確かなのですがそれはもう結構な脳筋なんですよ……。敵を見つければ誰よりも先に飛んでいき、誰よりも多く敵を倒しているのですが殆ど単独行動です。要は命令違反なんてクソ喰らえ! 俺は俺のやり方でやるんだ! 状態です」


「よく今まで生きてこれたな……」


戦場に置いて単独行動は死を意味する。

何故なら単独で動こうものなら敵に取り囲まれ一人ひとり各個撃破されてしまうからだ。

だから軍は陣を組み、敵に撃破されないように仕組む。

特に数の少ない魔族ならば余計に堅い陣を築く必要がある。

だが例外もあり、単独行動に特化した職業を持つ者の場合は、逆に集団で行動を取るとステータスにマイナスの補正がかかってしまう。

代表例を上げるとしたら素早さ特化の細剣使いや、隠密特化の暗殺者辺りだ。


もしリファの言う者がこの二つの職業の内どれかだとしたら今まで上手くやって行けたことが頷ける。

だが魔王は絶対にそれは無いだろうなと「はぁ〜」とため息を一つついた。


「……あまり聞きたくはないがその者は細剣使いか? それとも暗殺者か?」


「いえ……違います。ただの大剣使いです」


「やはりか……。その者には軍を任せられんな。もう少しマシな者を他の軍から探し出すか、有能な者を軍に入れるしかないな」


魔王はチラリと他の幹部等に目を向けた。

すると幹部等は魔王の意図を瞬時に察したのかサッ!と目を背けた。

ただでさえ人数の少ない自軍から優秀な者が抜かれるとなれば戦力は激減する可能性がある。

だから幹部等は魔王から目を背けたのだ。


「どうしたものか……」


「だ、大丈夫ですよ! 自分の軍は自分で何とかしますか!」


「そういう訳にもいかんだろ?」


リファは魔王軍幹部であり、一軍隊の指揮官だ。そのような重要な人物が一日中軍に居ては作戦の遅れが出てきてしまう。

今までは各軍隊に一人か二人いた小隊長に、別件の仕事がある際は仮ではあるが指揮官を任せていた。

だが、それを全てリファがやるとなれば話は別だ。

リファは指揮官であり、この魔王城で働く数少ない幹部だ。

しかもリファは作戦などを考える者として長けている。

そのリファの考えた作戦を各戦場にいる幹部等や小隊長に伝え、軍を進軍させている。

だが自分自ら指揮官と小隊長を請け負う場合、他の軍よりも進軍に遅れが出てしまう。


魔王も部下の願いがを聞き届けたいが、こればかりは了承する訳にも行かなかった。


「では魔王様のお子さんを兵に出すのはどうでしょう?」


メラが突然そんな事を口走った為、魔王はギョッとしてしまった。

それは幹部等も同じだった。


「……毎度毎度思ってたがメラは悪魔かなんかの生まれ変わりなのか?」


「失敬な。私はただ、兵がいないリファ様の軍と強い者と戦いたいあの子の願いを聞き届けようと思っただけです」


「確かに双方の願いは解決するがいくら何でもノアには早すぎるだろ?」


「早すぎると言ってもノア様はもう十三ですよ」


「むっ……」


魔王は反論出来なかった。

魔族で十三歳となればそれなりの戦闘経験を積む時期だ。

だがノアは生まれてまだ少ししか経っていないだろうと魔王は思っていた。

何故ならノアを見つけた場所は【魔窟の大森林】と呼ばれている場所だからだ。


【魔窟の大森林】はただの森林地帯ではない。どの種族も恐れる凶悪な魔物がウジャウジャいる場所だ。

だが、【魔窟の大森林】の本質はそこでは無い。

魔王が気にかけている本質とは大森林の中は外の数倍~数百倍の早さで時間が流れているということだ。

それは森の奥へ進めば進むほど時間の流れが早くなる。

因みにノアを魔王が見つけた場所は第四エリアの為、時間の流れは数十倍程度で済んだ。

ノアはその事について知っているのかは定かではないが、急激な体の成長には違和感があったはずだ。


「ノアは今どこにいるんだ?」


「ノア様でしたら隣の部屋で本を読んでいると思います」


「ふむ……では連れてきてはくれないか? ノアの意見を聞きたい」


ノア自身は強い敵と戦いたいと言っているのだが、魔王は確認のためにもう一度聞くことにした。


「分かりました」


メラはそう言うと、部屋を出ていった。


「魔王様のお子さんってノアって言うのか?」


ガルドが初めて聞いたかのような表情で魔王に問いかけた。

その問いに対して魔王は「そう言えば言ってなかったな」とボソッと口に出した。


「お前達がその話題に対してあまり興味が無さそうだった為話してはいなかったが、俺の子は今まで二人だった。それがつい最近三人になった。上からエルザ、シトラス、そしてノアと言う名だ。いずれはお前達の軍のどれかに預かってもらい実戦経験を積ませるつもりだ」


「……で、そのつい最近三人になったというものはどういうことだ? 隠し子か?」


「違う、色々あって数日前に俺の子になった子だ」


それを聞いた幹部等は明らかに不安な表情をした。

いくら魔族を統率する王とは言え、見ず知らずの子を自身の子供とするのはどうかと思った。

もしその者が魔王に害をなす者であるのならば早急に排除しなければいけない。

そんな考えが幹部等の頭を過ぎった。


だが、次の瞬間その考えは風に飛ばされた砂のようにサラサラと消えた。


「初めまして、私はノア。これからよろしく」


会議室の扉が開いたと思えば白髪紅目の少女が入ってきた。

その少女は行儀よく挨拶をすると、にっこりと笑った。

その白髪紅目の少女を見た幹部等は「これは……ヤバイ」なと内心思った。











次回!「これは……ヤバイ」と思ったのは何故かです。


第19部の修正はまだ終わっていません。

ですので一旦ここで読むのを止めた方がいいと思います。

修正したものを改稿するのは大体1週間くらいです。

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