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黒蝶のループ
漆黒の羽に妖艶な光を帯びて
昼間の空気を一変させた
空の心を見透かして
そう気づいたのは何百回目の夜だっけか
音も立てずに飛び去った
小さな僕は黙ったまま
仲間の背中を追いかけた
縛ったのが誰かなんて興味ない
ただ この両手両足の枷を
今 僕は壊そうとしている
鎖に向けた切っ先は震えていた
あの時、蝶を追いかけていたなら
どうなっていただろうか
きっと この枷は
長い間 己を守った盾だろう
鍛えた強さの否定は
挑戦か 逃げか
僕にはもうわからない
まだ 迷いがあったから
枷を壊せないまま朝が来た
僕は 泣いていた
空っぽで
好き嫌いをしないで
いつも静かに
欲望を抑えて生きること
正解だと思っていた教えは 残酷な嘘
牢獄に居場所を見つけること
この枷を愛すること
そんな強さも こんな弱さも
嫌いではないけれど
もう一度、今夜こそは
あの蝶のように