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残された夢の傷
真夜中を照らして
くらくらしながら見る夢は あまりに美しくて
吐き気すら気づかないほど見とれてた
声にならない叫びを上げて
そのまま意識は失われた
涼しい顔で悪を倒す勇者の悲しみを誰も知らない
川の流れに耳を澄ませて
風の唸りを見る
頬を伝う雨はあなたの記憶を映し出す
一緒に繋いだ手と心
今も繰り返し求める幸福な時間
振り向いた夢で
ぐらぐらと現実は揺らめいて
どうしてこの手は血で染まっているのか
誰の為に強く生きねばならないのか
もう少しあなたの側で
ひとりで泣いていたかった
沢山の亡くしたものを
期待を 責任を
飲み込んで笑う強さが欲しいだけ
こんな脆い剣だから
あなたを真似ることすらできない
他人事のような拍手に迎えられて
私は笑顔を振りまいた
橙の空 蝉の鳴き声
今夜の祭りは花火が上がるそうだが
あなたのいる夢からでも見えるといいのに