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そらの100かいだていのいえ

友人のこどもが、幼くして亡くなった。

その知らせを聞いて、何を、どんな言葉をかければいいのか、わからず、黙するしかなかった。

下手な言葉では、ただ辛いことを思い出させるだけにならないか。

亡くなったこどものことを偲ぶ言葉を並べて、

友人が哀しんでいるのは当たり前なのに、それを繰り返してどうするのか。

それに、亡くなったこどものことを直接知っている訳ではない。親である友人を前に、何を語るというのか。

友人には気を落とさず元気になってほしい。でもそう言うのは、なくなったこどもをないがしろにするようで、それは親である友人にとって耐えがたいことなのでは。

思ったことをつらつらと並べ、理解を乞うのは、自己満足に過ぎないのでは。

そんな言葉を贈られて、哀しみにくれる友人にとって、何になるというのか。


そんなときに、この絵本を読みました。


この本の見せどころは、多分あいかわが感じたところと全く違う。

他のシリーズと同じく、不思議なところにある100かいだての家を主人公が訪ね、

10階ごとに住む住人と触れ合いながら、多彩で緻密なそれぞれのいえの様子を楽しむ、

そして、100階の家全体を守る主とのやりとりを通して、どこかちょっと優しい気持ちになる、

そんな絵本。


けれど、あいかわには、全く違うように思えた。


そらの100かいだてのいえは、ジュウシマツのツピくんが、雪の降る寒い日に一粒のひまわりの種を見つけることから始まります。

寒い寒い冬の日です。餌なんていくら探してもない。おなかがすいて仕方ない、そんな時に見つけた、たった一粒の小さな種。

「そうだ! これを育てて花を咲かせよう。種になったら、もっとたくさん食べられるよ」

でも見渡す限りの雪景色。どこならこの種を育てられるかな?

種をくわえて飛ぶ立つツピくん。そのツピくんがたどり着いたのは、雪の降ってくる空の奥、雲の上にある不思議な100かいだての家でした。


空の上に住む住人たちとやりとりをしながら、100階建ての家をのぼっていくツピくん。

種は少しずつ、少しずつ大きくなっていきます。

発芽し、双葉になり、背が高くなり、つぼみがつき、…

最後に迎えてくれるのは、あたたかく、すべてのいのちを見守る、おかあさんのような、たいよう。

「あなたをずっと見ていましたよ。ここまで来てくれてありがとう。

みんなではなをさかせましょう!」

そして、ツピくんの携えたひまわりに与えられる、たいようのちから。

ひとつぶの種は大きなひまわりになり、花が咲き、たくさんの種になり、

シャワーのように空から地上へと降っていく。

冬のさなか、食べるものがなくて困っているたくさんのいのちに向かって、

一つしかなかったしあわせが、たくさんのしあわせの種になって。


友人のこどもはきっとツピくん。

小さなしあわせの種をもって、天へ旅立ってしまったけれど、

その先で大いなる存在に出会って、また友人のもとに、たくさんのしあわせを返してくれるために、

きっと行ってしまったんだ。

地上で生きるわたしたちのところに、

たくさんのしあわせを届けるために、

自分の分の小さなしあわせを、捧げにいってしまったんだ。


そう、思いました。


こどもをなくした、あいかわの友人は、

再び、小さな命を得ました。

本当に良かった。

「そらの100かいだてのいえ」をお祝いに贈ると、

「100かいだてのいえ」の絵本は、先になくなったこどもも大好きでした、

と連絡がありました。


新しく生まれた、二人目のこどもも、

その絵本を好きになってくれるといいな。


どうか、友人に、そのこどもに、

しあわせがありますように。


この世に生きるひとたち、みんなが、

ツピくんの増やした小さなしあわせに、めぐり逢いますように。


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