京都骨董ふしぎ夜話 3
あいかわには、会いたい人がいます。
小学校で親友でした。きっかけは習い事だったけれど、毎日のように遊んで、
その子の引っ越しが決まった時には、手紙を送り合って、
お話をお互いに作り合って、批評もして、
小学生のくせに、電車を乗り換えて何か月に一回会いに行って、
中学生になって、その子と話すために初めて、どきどきしながら喫茶店に入ったりしました。
頻度は落ちても、高校生になっても、大学生になっても、
その人とはずっとつながっていました。
というか、あいかわはそのつもりでした。
ある時、あいかわにとって割と大事な集まりにその人を招待して、
その人は来てくれたけど、
それからもうほとんど合わなくなった。
お互い忙しいこともあったけれど、
きっかけはもっとささいなことで。
「親が気にするから、もう家に送らないでほしい」
集まりに招待したときに、招待状をさして、その人は言いました。
手紙から始まったその人とのやりとり、その上で言われた言葉に、あいかわが受け止めた重さを、その人は知っているのかな。
その人が込めた思いを、あいかわはちゃんと受け止めていたのかな。
あいかわが受け止めたより、軽い気持ちの言葉だったのかな。あいかわは気にしなくて良かったのかな。
あいかわが受け止めたよりも、ずっと重い意味が込められていて、あいかわは無神経にも気づいていなかったのかな。
長い間やりとりした手紙は、今もあいかわの家のどこかにあって、
探せば住所も、電話番号も、きっとわかる筈。
でも、もう、たどれなくなりました。
今なら、会わなくなった時期もひっくるめて、幼い時からの思い出をみんな、
楽しかったねと、語り合えるだろうか。
そんな気持ちを、どこかに持っています。
さて、本の話。
この「京都骨董ふしぎ夜話」は、他のたくさんの良書に負けず、あやかしたちの、こころあたたまるすてきな物語なのだけれど、
3巻の3話、「隠し扉から愛をこめて」では、分かれ分かれになった友人が再会するきっかけを、モモエダ・アンティークが提供するのです。
ヒロイン光がロンドンみやげに天草からもらった宝箱。その隠し扉に入っていたフレンドシップピン。
その持ち主を探すところから、物語は始まり、
長い間会わなかった友人たちは、ピンに託された絆を再び取り戻します。
まったく私的なことですが、久しぶりの彼女たちのその再会に、あいかわも共鳴して思わず涙目に。
そして、「あの人に会いたいなあ‥」となりました。
この文章を読んでくださっている、あなた。
あなたにも、会いたい人はいるでしょうか?
その人に会うのは、まだ間に合いますか?
あなたとその人との間に、どんなストーリーがあるのかは、あなたにしかわからないだろうけれど、
いつかきっと、すてきな思い出と共に、あなたがその人に会えることを、
あいかわも祈ります。
『皆さん、日本で落とし物することを恐れないで。きっとあなたの元に戻ってくるでしょう!』




