青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない
桜島麻衣は完璧な女優。超人気タレントだ。
視聴者だけではない。彼女と仕事をした誰もが、桜島麻衣を好きになる。その才能に魅せられる。
その彼女が、誰からも認識されずに、バニーガールの衣裳を着てその辺の町をうろついていたなんて、
あなたは信じますか?
誰よりも信じられなかったのは、桜島麻衣、その人。
でも信じざるを得ない。自分は誰にも気づいてもらえないのだと。
だって、あの桜島麻衣が、こんなバニーガールの格好をして街をうろついているのに、
誰も驚かない。誰も気にしない。誰も、見てくれないのだもの。
その桜島麻衣が、ようやく見つけた、
「わたしに気づいてくれたひと」。
それが主人公、梓川咲太。
「青春ブタ野郎~」のシリーズは、
種々の不思議な現象を起こす思春期症候群をテーマに、
咲太と咲太を取り巻く人々を描く。
この巻では、咲太の初恋の人・翔子が登場し、
咲太と麻衣の恋人の絆をひっかき回そうとする。そう見える。
でも本当はそうではなくて。
翔子の行動の真相に気づいた咲太は、残酷な二択を突きつけられる。
初恋相手の翔子を救うか。恋人の麻衣の願いをきくか。
巻の最後の場面で見せられるのは、麻衣の覚悟だ。
その先にどんな結末があるのか。
翔子が救われるのか、麻衣の願いは悲しくもかなうのか。それは次巻までわからない。
ただ、忘れられない。
あの桜島麻衣が、完璧な女優が、才能あふれる超人気タレントが、日本国民の憧れの的が、理性をなくして、咲太の前で、幼い子供のように鼻をすすりながら泣くなんて。かっこよくもなく、ひとつも取り繕うことのできていない剥き出しの想いを見せるなんて。
だから。
麻衣と咲太には、絶対に、幸せになってほしい。
そう祈りながら、次巻を待ちます。
‥この作者のお話は、どれも会話がとってもアップテンポで、読んでいてすいすい進みます。
かといって、軽いだけでもなくて、地に足ついた裏打ちがあって、
とても楽しく、深いです。
「さくら荘のペットな彼女」もとっても楽しかった!
そしてこのシリーズでは、「さくら荘のペットな彼女」の登場人物らしき人影がちらほら。二倍お得かも。
でも、個人的には、
「神無き世界の英雄伝」の続きも読みたいなあー‥。




