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犬は書店で謎を解く

「ご主人様はワンコなのです」がサブタイトル。

そして、表紙には、不機嫌そうなイケメン君と、ご機嫌な様子の柴犬が描かれている。

(ああ、この頭の良さそうなイケメン君が、飼い犬のワンコに振り回されちゃう?)

表紙をめくり、中には、書店を背景に若い店員たち。

活発そうな女子が左側に、中央奥に物静かそうな文学系っぽい女子、右側手前に、嫌がる柴犬を抱き上げて頬ずりする笑顔のイケメン君。

さて、一体どんなお話なのだろう?

イケメン君とワンコの関係は如何に?


とまあ、こんな書き出しで始めるということは、

このお話のワンコとイケメン君は、素直な関係ではない訳です。


小説中にあふれているのは、

主人公を取り巻く周囲の人々の、さりげない、不器用な、無垢な、ささやかな愛情。

「おい、止めろ!」と、ご主人様なる「萩兎」が、目にした自分のしっぽを追いかけて止まらなくなったり、

今まで仕事ばっかりでちっとも構わなかったくせに、いざとなると息子の様子が気になってたまらない父親の寿久、

どんな嫌な人間でもいいから早く戻ってほしい。わたしが泣いているからってティッシュを渡したりしない人間にさあ、と泣くハル子。

ちらりちらりとのぞく登場人物たちのしぐさにじわじわボディーブローを受けて、とどめには、

ワンコの良いところをぎゅうっつと濃縮したような「ハギト」の、周囲の人々に向ける、

安売りできそうなくらいあふれんばかりの笑顔。

きっと犬好きのみならず、多くの読者がノックアウト。


「ハギト」を取り巻く登場人物たちのあたたかい光景を描きつつ、

物語は不審な出火、いくつかの事件と共に進む。

金沢に現れた、『防災都市』の著者、白雪克己は何者なのか。

人の裁けない罪に罰を与える妖怪ファイヤーマンとは?


「たとえば小さな子供たちが遊ぶのを見ていたら、この子たちが一生幸福であればいいなと、心から思う」

「しかしもし、おまえの愛する人間の命を奪うか、子供たち十人の命を奪うか、どちらかを選べと言われたら」


ハギトと萩兎、二人の見る不思議な夢。

落雷の果ての入れ替わりの真相と結末は?


「早く雷を落とせ!」との叫びは、自己の保身のためじゃない。

大切な親友の魂のためだ。


最後かもしれない機会に「萩兎」が「ハギト」に贈る言葉は、

入れ替わりの前には決して生まれなかっただろう言葉。


「だから‥死ぬなよ」


是非、一読をお勧めします。

続編求む! もう一度入れ替わりも歓迎!

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