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香魅堂奇譚 3

赤い紅葉。山の樹々から生ずる清々しい緑の気配。その湿度。巻き上がる風。行き交う人々の気配。重ねた衣服のぬくもり。つないだ手。導く手。舞い落ちる葉。風に舞う葉。実りの姿。稲穂。柿。名も知らぬ赤い小さな実。それを見る鳥たち。高く響く囀りの声。豊かに膨れ上がる秋の空気。その向こうに潜む、やがて来る冬の沈黙。

香りの専門家が出てきたら、話は嗅覚にとどまらず、二巻は視覚を。この三巻は聴覚を。

人の記憶、人の思いは、脳内を行き来する電気信号で生じている。

ならば、電気信号経由で、人は香りを見、姿を聞くことができる?


「やって見せてよ」

高校の文化祭の準備で。

何でも音楽に表すことのできる一年生に、上級生がつきつける。

キーボードを用意するわ。それが本当なら私を音楽にして。

軽薄で上っ面で不協和音で彩られた音楽が奏でられ、

その上級生は、泣いた。

それほど、自分がありのままを理解され、受け入れられることは、尊い。


京都を舞台に仕掛けられたのは、

異端をありのままに受け入れる世界を目指しての、儚い望み。


設定は、まだまだ物語が続く余地があるかれど、

物語としてはとてもきれいに収まった、深みのある三巻でした。


清風さんと辰巳さんと、どちらもかっこ良い!!

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