変態な美少年への正しい対応とは?
「ん…ーーー」
朝、私は人の気配を感じて目を覚ました。
「おはよう」
太陽の光を背中に背負いながら、真琴が微笑んでいた。
「気分はどうかな?熱は36℃だったよ」
天使か女神か、見間違えそうになった。
爽やかな笑顔に騙されかけたけど、どうやら勝手に体温計を脇に挟んで、熱を測ったらしい。
「ちょっと勝手に…ーーー」
私は恥ずかしくて文句を言おうと起き上がってから、
違和感に気づいた。
「あれ?…―――私の服…」
(そういえば昨日、目を覚ました時も…制服着てなかったような…ーーー)
「うん、僕の部屋着しかなくてごめんね」
すまなそうに、しかも照れながら真琴が言う。
(――――…謝るところ、そこなのか…?)
もっと他にあるよね、勝手に服脱がせてごめんね、とか。
勝手に…――――!って…??!ブ、ブラしてない!
私が驚いて胸元に手を当てると、真琴が思い出したように言う。
「あ、そうそう。今日履いていく替えの下着無いと思って昨日のうちに洗濯しておいたよ!ちゃんと乾いてるから今持ってくるね」
「ちょっと…真琴―ー!」
今、サラッとなんて言った?下着?洗濯?
「パンツは僕の一存で脱がせたけど、ブラは束沙ちゃん自ら脱いでたからね。寝苦しい…って」
「そ、そんな馬鹿な…」
愕然としている私に、真琴は逆ギレした。
いや、その前によくよく考えたら、『パンツは脱がせた』言うてましたよね?
――――脱がせた!?ってことは…見た?
私の身体…見たの?
私が恥ずかしさと怒りで震えながらうつ向いていると、
「家ではいつもノーブラで寝てるんだもん、寝苦しいのは仕方ないよね」
真琴が苦笑しながら、『ナイスフォローでしょ?』みたいな表情でそう言った。
(…―――なんでそれ知ってるのよ…っ)
私の寝るときの格好を、どうして真琴が知ってるわけ!?
「朝ごはん、軽めの方が良いよね?たまご粥食べれる?」
珍しく私の前で欠伸しながら、真琴が立ち上がる。
「あ…ーーー」
(そっか、真琴…私のせいでベッドで寝てないんだよね…)
「ごめんね、ありがとう…」
色々…深く考えたくない言動はあったけど、
真琴が私のために看病してくれたのは事実だしね…。
「何が?」
私が素直にお礼を言うと、真琴は振り返ってキョトンとした表情を向ける。
「昨日、床で寝させちゃったんだよね…寝不足?」
「あぁ、大丈夫。ちゃんと一緒のベッドで寝てたから。でも束沙ちゃんの寝顔が可愛すぎて、ついつい興奮しちゃって寝付けなくてさ…」
(ん?―――んんっ?)
「元気になって良かった!」
満面の笑みで、真琴が言う。
「本当にねっ!」
(―――もう二度と、あんたにだけは看病されたくないわっ!)