コンビニで晩御飯を買うとバチが当たるのか?
私は帰り道、近所のコンビニに入った。
「いらっしゃいませー」
やる気のない店員の声を聞きながら。
「コンビニ?…何買うの?」
当然のように真琴がついてくる。
まともに会話するのは諦めよう。疲れるだけだ。
「お弁当だよ、…夕御飯」
面倒臭いが、聞かれた質問に素直に答える。
今日は、なんかドッと疲れてスーパー寄って食材買う元気がないから…。
(―――真琴のせいで。)
私が隣にいる真琴をジロッと見ると、
視線に気付いたのか真琴がすぐこちらを向いた。
「ねぇ束沙ちゃん、僕の家で夕御飯一緒に食べることにしたら?」
「…なんで?」
(あぁ…なんだか…ーーー体がダルい…)
私は、返事するのも面倒臭くなっていた。
真琴は名案だと言わんばかりに瞳を輝かせている。
「僕も夕御飯は一人だし、一応手料理だよ。雇った人のだけど」
「いい、要らない…」
(お願いだからもう、放っておいて…)
ふらつきながらも、コンビニ弁当とサラダを手に取りレジまで向かう。
「つ…」「動くなっ」
真琴が何か言いかけた瞬間、ドスの利いた声でそれはかき消された。
(―――ひっ!?な、何?)
喉元にひんやりとする金属の感触、
そして誰だか知らない男の人に、後ろから羽交い締め。
(これは、もしかして…ーーーー。ご、強盗さん!!?)
「束沙!」
いつになく、真琴が慌てている。
「動いたら、この女?の首が切れるぜ!?」
強盗が私の喉元に刃物を突き付ける。
(――――…マジか。てか今『女?』って疑問系だったよね?女だろ、どう見ても)
私が心の中で強盗にツッコんでいると、
「おい、早く金出せ!金!」
強盗が店員に刃物を向ける。私はその瞬間に思いきり手に噛みついた。
「痛っ――――この女…」
そこまでは、我ながらよくやった!と思った。
だけど…――――
(…―――あれ?)
いつもなら、こんなやつ背負い投げ出来るのに、
なんでだろ…今日は力が…出な…い。
「束沙!」
意識がなくなる寸前、視界に入ったのは、血相変えて駆け寄る真琴の姿だった。
(危ない…真琴逃げて…ーーーー)