ファーストキス(真琴目線)
(おはよう、束沙ちゃん)
僕は、枕元にそっと座り、眠っている僕の束沙ちゃんに心の中で挨拶する。
本当は一緒の布団に入りたいが、そうしたら学校をサボることになりかねない。
真面目な束沙ちゃんのことだから、入学式の翌日からサボるようなことはしたくないだろう。
だから僕は、束沙ちゃんが起きるまで、頬杖ついて眺めていることにした。
束沙ちゃんの寝顔を見ていたらキスしたくなって、
ちょっとだけならと、そっと唇に触れた。
「…ん…ムニャ…」
キスしたあと、寝言を言う束沙ちゃんが可愛すぎて、
僕は何度か軽くキスをした。
「ん…」
(あ、起きた!)
僕は、白雪姫のように可愛らしい束沙ちゃんの目覚めに見入っていた。
「おはよ、束沙ちゃん。」
(あぁ幸せ、こうして朝一番に君の瞳に映るのは僕だから…ーーー)
そんな僕の気持ちを無視してか、束沙ちゃんの目が見開く。
(あ、束沙ちゃん、叫ぶ気だな)
「ぎゃ…むぐっぅ」
やはり、ぎゃあぁぁ―と叫ぶところだった束沙ちゃんの口を、僕は素早く手で塞いだ。
(なんでそんなに驚くの?―――君は僕のモノなのに…ねぇ?)
それにしても、束沙ちゃんの唇美味しかったな、
明日もこっそりいただくとしよう。
僕のモノだという、証として。