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罪人たちに夜明けを  作者: 紅月
第五章
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街中

 ‐五分後。


「あー!くそっ!安すぎる!!」


 アンリがムッとしながら服屋から出てくると、喚く。

 その後にルヴィカとシャロンが苦笑しながら出てきた。


「あの、値段なら他の村とかで売った方がもっと高く売れるのに」

「ジオーグは高級思考な所があるから、ウサギとかの毛皮だとそんなもんだよ」

「売るのは諦めて買い物ね」


 アンリは渋い顔をしながらも頷いて肩を竦めた。


「しょうがないな…。買い物しながら、観光でもするか。なんか、名所とかあるか?」

「それなら、リスモス広場がいいね。教会もあるし街の人の憩いの場所なんだ」


 リスモスは芸術と建築を司る神であり、ジオーグの人々の信仰の対象である。

 

 建築家の街なのだから、きっと教会も豪勢なのだろう。

 ルヴィカの家から見ても凄かったし。


 シャロンの様子を伺えば、期待に満ちた目でルヴィカを見ている。

 その光景にアンリは微笑んだ。

 少しでもシャロンがこの旅を楽しんでくれるのは、アンリにとっては凄く嬉しい。


「リスモス広場に行ってみるか。教会の中とか見れたりする?」

「うん、あそこはおいらの父さんも建てるのに参加したんだ!」


 ルヴィカはちょっと誇らしそうに胸を張って、メイン通りを進んで行く。

 途中、食料品や足りなくなった薬などを調達しながらメイン通りを抜けると広場に出た。

 広場の中央にはリスモスの像を囲むように座る三人の女神像が持つ水瓶から水が流れる噴水があり、その奥に教会がある。

 

「食べ物の出店もたくさん出てるのね」


 シャロンは感心したように言って、広場を見回す。


「お祭りみたい!」

「毎日、ここはこんな感じだよ」

「いいなぁ」

「なぁ、祭りってなんだ?」


 二人の話を黙って聞いていたアンリが不思議そうに聞く。

 

「え!?アンリ、知らないの!?」


 驚くルヴィカに対して、シャロンは納得したような表情をした。

 村の人と関わることが無かったアンリが祭りなんて行事知るわけがない。


「私たちの村だと、豊穣の女神様であるメリーエルに田畑が豊作になった感謝を込めて皆で祈りを捧げたりお祝いしたりするのをお祭りって言うんだけど、多分ジオーグも一緒かな?」


 シャロンに話をフラれて呆気に取られていたルヴィカも同意する。


「え…あぁ、うん。でもリスモスは芸術と建築を司ってるから豊作とかって訳じゃなくて、作業の無事とか祈ったりするのがお祭りなんだけどね。…ちなみにお祭りの時はもっと盛大だよ!」

「神々に感謝する…。楽しそうだな」


 アンリは広場に集まる人達を見て、祭りを想像してみる。

 きっと、たくさんの人が笑ってて楽しいのだろう。

 祭りに思いを馳せるアンリの肩にシャロンが手を置く。


「じゃあ、今度一緒に行こう?私がお祭りがどんなものか教えてあげる」

「え?」

「あ、じゃあ、おいらも!ジオーグの祭り案内する!」


 二人の申し出にアンリは驚いた後、照れ臭そうに笑う。。


「ありがとう、その時を楽しみに待ってる。…ほ、ほら、ルヴィカ、教会の案内!」

「わかった、わかった」


 ルヴィカは二人の手を取ると、教会の中へと入っていく。 

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