街へ
「ところで、この後三人はどうするんだい?」
ファリスの一言で三人は言い争いをやめると、シャロンとルヴィカがアンリを見つめた。
「そうですね…。とりあえず、洗濯をしてから街に出てみようと思うんですけど」
天気もいいからきっと今洗えば、夕方には乾くだろう。
ファリスも頷いた。
「そうだね、じゃあルヴィカは二人がそれを終わるまで僕の仕事を手伝ってね」
「えー、手伝いって家事だろー」
「立派な仕事だよ」
ファリスは満面な笑みを浮かべて言った。
それから食事を済ませた一行は、各自の仕事を済ませて街へ繰り出す頃には太陽は真上の近くまで来ていた。
「ファリスめ、色々押し付けて来たせいで街に出るのが遅くなった」
「それだけ仕事が溜まってたって事でしょう?」
シャロンはそう言うと、ちょっと考えてから口を開いた。
「でも、ファリスさんって私のイメージする守護者って感じじゃないなぁー。師匠とか、リラースタンのレルムさんやリリアさんは魔法とかよく使ってたけどファリスさんは全然使わないよね」
「あぁ…。ファリスの魔力、最近弱くなっちゃってそれから魔法は極力使わないようにしてるんだ。…いざって時のために使えないと困るからって」
ルヴィカは少し顔を曇らせると、首を横に振って笑顔を作る。
「ま、ここは魔物とか魔獣にあんまり襲われないからそこまで深刻って訳じゃないけどね」
アンリとシャロンは顔を見合わせて困ったような顔をした後、ルヴィカの頭を二人して撫でる。
予想外の事にルヴィカは顔を赤くすると「やめろよ!」と言って二人の手から逃れる。
「恥ずかしくなっちゃったの?可愛いー」
口に手を当てて「ぷぷぷ」と笑うシャロンに、ルヴィカがポカポカ背中を叩く。
「二人ともそれくらいにして。じゃあ、街の案内頼んだぞ、ルヴィカ」
「任せとけ!行きたいところとかある?」
「そうだな…。毛皮とか売りたいし、旅の道具も揃えたいかな」
「なら、メイン通りの方がいいかも。こっちだよ、ついてきて」
ルヴィカに先導され二人はジオーグのメイン通りへとやって来た。
観光客や街の住人の多くが行き交い賑わっている。
さすがメイン通りと言うだけはある。
メイン通りに着くとルヴィカはフードを被り顔を隠す。
「何で隠すの?」
「この方が動きやすいんだよ。素顔見せると、案内してる所じゃないから」
アンリは少し複雑そうな顔をすると、気を取り直して毛皮が売れそうな店を探す。
しばらく探していると、シャロンが「あれは?」と言って指をさした。
看板には“服屋”と書かれている。
「よし、あそこに行ってみるか」
三人は服屋へと入っていく。