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罪人たちに夜明けを  作者: 紅月
第五章
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朝食

 その時、扉が開き家からルヴィカが出てきた。


「アンリ、ファリスが朝ごはんだからシャロン起こしてきてってさ」

「わかった。…シャロン!朝ごはんだって!!」


 上に向かって叫ぶアンリにルヴィカはぎょっとして、見上げるとそこにはにっこり微笑むシャロンがいて目があってしまった。


「あ…しゃ、シャロン、おはよう」


 昨日のことを思い出して何となく、顔が赤くなるルヴィカにシャロンも「おはよう」と挨拶したあと、スッと目が細くなる。


「…昨日の事を思い出したら、ぶっ飛ばすわよ?」


 ルヴィカがガクガク震えながら頷いたのを、確認すると満足そうにシャロンは部屋の中へと戻っていった。


「ルヴィカ、大丈夫か?」

「う、うん、大丈夫…っていうか、シャロン怖いね」

「そうか?」

「そうだよ!見なかった?あの、殺気に満ちた目!!」

「うーん、気づかなかったな…」

「アンリって結構抜けてるよね」


 ルヴィカは呆れ気味に言う。


「例えば?」

「女の人が裸を見られるのを嫌がるのを知らなかった事とか」


 アンリは「あー…」と言いながら頭をポリポリ掻く。


「いや、師匠から試験受けに行くって話になった時に女の人の着替えてるときとかは気を付けろって注意を受けてはいたんだけど…。まさか、あそこまで怒るとは…」

「教えてもらわなくても十歳のおいらでもわかるよ」

「…まあ、今まで人とあんまり関わって来なかったしな…」


 アンリの言葉に「えっ?」と不思議そうな顔をしてルヴィカが聞き返そうとすると、ファリスが二人を呼ぶ声が窓から聞こえた。


「戻るか、ファリスも呼んでるし」


 アンリは氷月華を鞘に戻すと、家の中へと入っていく。

 ルヴィカも首をかしげながら、アンリの後を追って中に入る。

 家の中へと入ると、いい匂いが充満していた。

 二人は顔を見合わせて目を輝かせると食堂へとかけ込むと、シャロンがちょうど山盛りのスコーンをテーブルに置いているところだった。

 二人に気づいたシャロンが腰に手を当てる。


「あ、やっと来た!全く、遅いわよ」

「ごめん、なんか手伝うことは?」

「もう、大体終わったから大丈夫だよ」


 そう答えたのは、食堂の奥からコーヒーを乗せたトレーを持って出てきたファリス。


「さあ、席についてついて!朝ごはんを食べよう!」


 その一言で、皆で席につくと朝食を食べ始める。

 テーブルには山盛りのスコーンとミンスパイが並べられている。

 アンリはどれから食べるか悩みながらミンスパイを手に取り一口かじる。

 肉とドライフルーツの甘みが口一杯に広がる。

 ほふぅとため息をつく。


「うま…」


 シャロンはスコーンにたっぷりのクロデットクリームとイチゴジャムを塗ると、それを頬張り幸せそうに頬に手を当てる。


「んー!クロデットクリームとジャムの相性最高!今度スコーンの作り方教えてください!」


 シャロンの言葉にアンリが飲んでいたコーヒー吹きそうになる。


「シャロン、本気!?」

「何よ?私、お菓子作りとかなら得意なのよ」

「嘘だろ?」

「失礼ね!」

「お、落ち着いて!」


 笑いながら言うアンリに顔を赤くして怒るシャロンをルヴィカが必死になだめる。

 そんな三人をファリスは少し嬉しそうに見つめながらコーヒーを一口すすった。

 

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