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罪人たちに夜明けを  作者: 紅月
第三章
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魔力

 それから直ぐにレルムが現れると、アンリ達の前に座る。


「昨日は災難だったな。にしてもあんた達に怪我が無くて良かったよ」


 そう言ってから、レルムは急に深刻な顔をした。


「ところであんた達気をつけな」

「な、何をですか…?」


 シャロンはゴクリと唾を飲み下す。


「今からリリアが紅茶を淹れてくる。…リリアの淹れた紅茶はヤバい。気をつけな」


 レルムの忠告の後、リリアが問題の紅茶をもって再び現れた。


「さて、お茶にしましょう?」


 リリアはそう言って、皆の前にカップを奥と紅茶を注ぎ始めた。

 注がれた紅茶の色に、アンリとシャロンはギョッとする。


「えーと…」


 シャロンは言葉を失う。

 紅茶の色がまさかの青色なのだ。

 紅茶はお茶が紅色だから紅茶はなのにこれでは青茶だ。


 絶対飲みたくない…。


「リリアさん、これって何を淹れたらこうなるんですか…?」


 アンリが勇気を出して聞いてみた。


「茶葉は内緒ですわ。美味しいから飲んでみてくださいな」


 満面な笑みで言うリリアにアンリは愛想笑いを浮かべた。


「さあ、どう「あー!そうだ。私たちに聞きたいことがあるんだろ?早く話を始めないか?」


 レルムが慌てて言う。


「そうですわね。何が聞きたいんですの?」


 アンリはレルムに感謝の視線を送ると、表情を引き締めた。


「昨日、話を聞いていたときにお二人が魔力が弱くなったとか聞いたので…。その話を詳しく聞きたいんです」


 アンリの言葉にレルムとリリアの表情が一気に曇る。


「ああ、その事か…。そうだな、前よりは確実に魔力が弱くなった」


 レルムは舌打ちをして頭を掻く。


「それっていつからですか?」


 これを聞いたのはシャロン。

 好奇心に負けてしまって口を挟んでしまった。


「そうですわね…。三ヶ月前位でしたわね。他の街の守護者達もそんなこと言ってましたわね」

「守護者達だけじゃなくて、魔力のある奴らの大半は弱くなったらしい」


 アンリは顔を険しくすると頷く。


「故郷の守護者であり、俺たちの師匠もメイヤーも魔力が弱くなったと言っていました。三ヶ月前かどうかはわかりませんが…」


 師匠が言っていたように、魔族の仕業なのか?

 だとしたら何のために…?


 アンリは唸る。

 リリアも深刻な顔をした。


「そして、今一番の問題はワイバーンの繁殖期なのです」

「リラースタンはワイバーンの生息域だからな。幻獣対策のために守護者が二人なんだ。…でこの季節になるとワイバーン避けの結界を張るんだが、今年は魔力が弱すぎて満足な強度に達していない」


 レルムの言葉にシャロンはサッと顔を青ざめさせた。


「じゃ、じゃあ、ワイバーンが群れで襲ってきたら…!」


 リリアが頷く。


「耐えられないでしょうね」


 その言葉で全員が黙り混む。


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