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罪人たちに夜明けを  作者: 紅月
第三章
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抜擢

 広場に着くと、馬車が二台既に止まっていた。

 シエラが馬車を広場に止めると、シャロンとチコが駆け寄ってきた。


「アンリ、シエラ!大丈夫だった?」


 シャロンが心配そうに聞く。


「大丈夫。ワイバーンもあれから襲ってこなかったし。他の皆も大分回復したみたいだ」


 アンリの言葉にチコがホッとしたような顔をした。


「よかった。メイヤーは少しでも早く治るようにってココの脚に回復魔法を使っちゃったからもう、今日は魔法が使えないのよ。…レルム達のお陰だね」

「ああ。明日には皆元気になるさ。…ココは?」


 ココとは、両足を複雑骨折してしまった団員だ。

 チコは困ったような顔をして、首を横に振る。


「私たちもさっき到着したばっかりだからわからない。大分前にトトの魔法で先にリラースタンについて、団長が病院に連れていったと思うんだけど、まだ帰ってこなくて…」

「そうか。…とにかく、怪我したメンバーを横にさせてやりたいから宿舎用のテントを広げよう」


 シエラの一言で、アンリやシャロンを含めた皆でテントを広げていく。

 全てのテントを広げ終え、怪我したメンバーを寝かせる頃には日がどっぷり暮れていた。


「皆、おつかれ。夕飯できたぞ!」


 キナのこの一言で、アンリとシエラが物凄い早さで食事の席につく。


「キナ!腹へった!!!飯大盛りで!」

「俺も!!」


 シエラとアンリの注文にキナは苦笑すると、今日は素直に飯を大盛りにして持ってきてくれた。


「今日は皆頑張ったからな。たくさん食えよ」

「「ありがとう!」」


 二人が飯にがっついている間に他のメンバーも集まり、夕飯にありつく。

 夕飯が一段落する頃に、ようやく団長が帰ってきた。


「団長!どうでしたか?」


 シエラが一目散に団長の前に駆け寄って質問する。


「復元魔法や回復魔法で脚の骨は無事にもとに戻った。…だが、三日は絶対安静だそうだ。明後日の講演に間に合わない。てことでだ」


 団長はそう言ってシャロンを見て笑う。

 シャロンはキョトンとして首をかしげた。


「ココの代役として舞台に出てくれないだろうか?」

「は!?」

「頼む!役はそんなに難しくないんだ!妖精王の付き人役をやってほしいんだ!」


 団長が必死に頭を下げてくるが、シャロンは首をブンブン横に振る。


「無理!無理ですってば!!演技なんてしたことないし!」

「バイト代弾むから!!」

「そういう問題じゃないですっ!アンリも何とか言って…」


 アンリに助けを求めたシャロンは固まった。

 アンリの瞳がキラキラと輝いていた。


「あ、アンリ…?」

「シャロン!やるべきだと俺は思う!!!お金がもらえるんだぞ!やるっきゃないだろ!!」

「でも、私たちには師匠からもらった…」

「しばらくは保つけど、お金はあった方がいい!旅にはお金がかかるんだ、シャロン!やろう!」


 凄い現実的な事を言ってるし!


 シャロンはため息を着くと、頷いた。


「わかった。やります。やればいいんでしょ!」

「ありがとう!助かった!!いやぁ、よかった」


 団長が手を叩いて喜ぶ姿を見てシャロンはもう一度ため息をついた。

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