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罪人たちに夜明けを  作者: 紅月
第三章
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激走

 シャロンが矢を放とうとするが、馬車が大きく跳ねてなかなか足場が安定しない。

 何度か構え直すが、さっきまでと違い揺れが激しいせいで矢を射れない。


「トト!この揺れなんとかならない!?」

「無理だ!ワイバーンを振りきるのに飛ばしてるんだから仕方ないだろ!」


 トトは屋根の上にいるシャロンに怒鳴ると、前にを走る馬車に襲いかかろうとするワイバーンに主魔法である炎を放つ。


「兄さん、私が加速の魔法を使うから逃げましょう」

「馬車が三台あるんだ!魔力がもたない」

「でも…!」


 メイヤーは唇を噛み締めると、馬車を囲む四体のワイバーンを睨む。

 魔物なら簡単に倒せるが魔獣となると、倒すのは難しい。


 しかも、馬車を守りながらなんて…!


 メイヤーはカードをワイバーンに投げつける。


『風!!』


 メイヤーの掛け声で竜巻がワイバーンに襲いかかる。

 しかしすぐに打ち消されたが、その後に氷がワイバーンを貫き声を上げて絶命した。

 アンリの主魔法だと気づき、メイヤーは思わず笑みをこぼした。


「さすがですね」


 トトがムッとして何か言おうとした瞬間、先頭の馬車に襲いかかっていたワイバーンが他のメンバーの魔法に倒され、そのまま馬車の上に落下した。


「マジかよ!?」


 先頭の馬車が横転し、二番目の馬車がなんとか避ける。


「アンリ!シャロン!!どっかに捕まれ!!」


 トトはそう叫んで手綱を必死に操り横転した馬車を避ける。

 しかし、後輪が僅かに横転した馬車に乗り上げ馬車が激しく揺れる。

 そのせいで、屋根の上にいたアンリとシャロンが激しく揺すられる。


「…っ!シャロン大丈夫か!?」


 屋根の縁に捕まりながら、反対側にいるシャロンに声をかける。

 シャロンは必死に縁を捕まりながらコクコク頷く。

 アンリがホッとして安堵したその刹那、再び馬車が大きく跳ねた。


「…くっ!」


 安心して手の力を緩めていたせいでアンリは馬車から投げ飛ばされたが、咄嗟に片手で縁に掴まり落下だけは何とか避けた。

 だが、身体だけ宙吊り状態な上に激しく揺れるせいでいつまで持つかわからない。

 アンリの指が限界を迎えそうになったとき、何かに手を捕まれた。

 ハッとして上を見るとシャロンが手を掴んでいた。


「アンリ!!大丈夫!?」

「ありがとう…!シャロン、悪いけどそのまま掴んでてくれ!!」


 アンリは横転した馬車を襲おうとするワイバーンたちに向かって手を伸ばした。


『落ちろ!雷!!』


 雷鳴が轟き、ワイバーン三体に電撃が走る。

 ワイバーン達は悲鳴を上げるとアンリの方を睨みこちらに向かって飛んできた。


「わー!アンリの馬鹿!!何してんのよ!」

「あのままだと皆殺されるだろ!?何とかこっちに注意をそらしたかったんだよ!」

「だからって、今の私たちだって戦える状況じゃな…うわっ!」

「げっ!」


 馬車が石を跳ねたのか、大きく飛び跳ねるのと同時にアンリとシャロンが馬車から投げ飛ばされた。

 

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