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罪人たちに夜明けを  作者: 紅月
第二章
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本当の二人

 どうして…。


「何でだろう…。頭ではわかってるの。アンリは私を助けてくれた恩人で、嫌う理由なんてどこにも無いんだって。わかってる」


 話ながら段々、腹が立ってきた。

 こんな自分に腹が立った。


「わかってるのに、アンリを受け入れることができない。そのくせ他に人がいないときはアンリに甘えるくせに、チコや他の人がいるとアンリに関わろうとしないで逃げちゃうの…!私は最悪で最低な奴だ…」


 シャロンはそう言って頭を抱え込む。


「シャロン、大丈夫?」


 チコは心配そうにシャロンの背中をさする。


「何でこんなに私って最低なんだろ…!」


 呻くように言うシャロンにチコは目を伏せた。


「ごめん、シャロンにそんなことが合ったなんて知らなかったから…」


 そう言ってからチコは優しく笑いかけた。


「あのね、あたしさシャロンが呪われてるって聞いても全然嫌いにならなかったよ」

「チコ…」

「アンリの父親の事を知っても、やっぱりアンリの事を嫌いになんてならない。だってね、二人とも本当は優しくていい奴なんだって知ってるから。呪いだとか、過去とか関係なく二人の事が大好きだから」


 シャロンは目を見開く。

 言葉が出てこない。

 胸が何故か熱くなる。


「あたしは実際に家族を殺された訳じゃないし、何を言っても綺麗事に聞こえると思う。でも、シャロンも難しいと思うけど本当のアンリを見てあげて欲しい。あたしはアンリが好んで人を殺すようには見えない。」


 チコはそれっきり口を閉じた。

 シャロンも無言になり考え込む。


 本当のアンリを知る、か。


 それはとても難しい事のように思えた。

 アンリの事を知るにはアンリの本音を聞きたい。

 自分が旅をしている間に酷いことをしても、どうして優しくしてくれるのか、知りたかった。

 聞いたところで教えてくれないだろうけど。


「シャロン、そろそろ交代の時間だよ」

「え、あ、うん」


 もう、そんなに時間が経ったのか。


「ねえ、シャロン。アンリの本音を聞いてみたいと思わない?」

「どういうこと?」


 戸惑うシャロンにチコはニヤリと笑った。

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