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罪人たちに夜明けを  作者: 紅月
第二章
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 その時、すぐ近くで獣の咆哮が聞こえた。

 アンリとメイヤーは顔を見合わさると、後ろを振り返った。

 そして、茂みを睨むように見ていると中から熊が出てきた。

 アンリはバケツをその場に置くと氷月華を抜刀する。


「メイヤーは下がって」


 アンリはメイヤーの前に立つ。


「いいえ、アンリ。ここは私に任せてもらえませんか?」

「え?」


 驚くアンリを押し退けると、メイヤーはローブの下に下げていた小さなショルダーバッグからカードを一デッキ取り出す。


「アンリに術具を見せるいい機会ですし」


 メイヤーはそう言ってカードを一枚取ると熊に投げつける。


「雷!」


 メイヤーの声でカードが光を放ち雷がカードから放たれた。

 雷は熊の体を貫く。


[があぁぁぁぁぁぁ!]


 熊が悲鳴を上げた刹那、口から炎を出してアンリ達に放つ。

 アンリとメイヤーは同時に左右に飛び退きそれを回避する。


「あの、熊の主魔法は火ですね」

「…ああ、てことはあの皮は防火性に優れてるな。街で売ったらいい値段で買って貰えそうだな」


 アンリの言葉にメイヤーは苦笑するとカードをさらに一枚、手に取る。


「倒せたらあげますね」


 メイヤーはアンリとそんな約束を交わすと、今度は熊の足元にカードを投げる。


「水!!」


 カードが輝きだし、水柱が吹き上がり巨大な熊の体を一気に宙へと押し上げた。

 さらにカードを水柱に投げる。


「雷!!!」


 水柱の中で閃光が走るのと同時に、熊の断末魔の叫びが森に響き渡った。

 水柱が消えると空から熊が白目を向いて落下してきた。

 アンリは熊に駆け寄ると生きているか確認する。


「死んだか…。カードってすごいんだな」

「金銭的なコストはありますけどね」


 メイヤーはほっとしたように言う。

 アンリは熊を担ぎ上げると、バケツを持とうとしたが熊で両手が塞がりうまくできない。


「私が持ちますよ」


 メイヤーは苦笑するとバケツを両手に待つ。


「悪いな。熊の肉は料理番のキナにくれてやろうか」

「キナ、喜びますよ」


メイヤーは弾んだ声で言う。


「あー、お腹すいた。今日の朝ごはんなんだろうな?」

「パンケーキとか言ってましたよ?」


 アンリはそんな会話をしながらメイヤーと、共に馬車へと戻る。

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