グランファルーゼンへ
何とか揉みくちゃにされながら船を降りた二人は、降りた所で王都に入る為に列に並ぶ。
「長い列ね」
「王都だからな。警備も今までの街より厳しいんだ。何しに来たのか申告しないとな」
「さすが王都」
そんな会話をしていると、いよいよアンリ達の番になった。
鎧をまとった兵士はアンリとシャロンを見て人の良さそうな笑顔を浮かべた。
「ようこそ、グランファルーゼンへ。ここへは観光ですか?商売目的なら申請書などを書いて下さいね」
「いえ、商売目的じゃなくて妖精の森へ行きたいので、その準備と休息を兼ねて」
アンリの言葉に兵士は少し渋い顔をする。
「妖精の森はあんまりお勧めしません。最近は妖精達が人間の通行を妨げているようなんです」
「妖精が?何で…?」
「さぁ?商人たちが森に入るといつの間にか入口に戻されたりしているみたいですね。…特に怪しいものとか無さそうなので大丈夫ですね。お通りください」
「どうも」
アンリとシャロンが兵士の前を通ろうとしたところで「あっ」と声を上げて兵士が二人を引き止めた。
「お二人はグランファルーゼンは初めてですか?」
「え?あ、はい」
「それなら、グランファルーゼンは広いですし特殊なルールもありますので案内を付けた方がいいと思います。…こちらをお持ちください。グランファルーゼンを出る時に魔導船の案内の者に返還して頂ければいいですから」
そう言ってシャロンに兵士は小さな瓶を渡した。
「では、良い旅を」
「ありがとうございます」
今度こそ二人はグランファルーゼンの地に足を踏み入れた。