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「おい!しっかりしろ!」
悲鳴を上げ続けるシャロンを抱き起こし、肩を揺さぶるアンリ。
だが、シャロンは苦しそうに喉を押さえながら悲鳴をあげている。
「アンリ!シャロンは大丈夫なんですか?」
ふらつきながら走ってくるアンネにアンリは険しい顔をした。
「早くしないと手遅れになります…!」
アンリは少し迷った後、決心をするとシャロンと向き合う。
「シャロンとか、言ったよな?俺が言うことを真似して言うんだ」
「うぅ…あぁぁぁぁぁぁっ!」
アンリの言葉が届いていないのか、シャロンはずっと叫んでいる。
「シャロン!!聞け!!!こっちを見ろ!」
アンリの怒鳴り声でようやくシャロンは喉を引きつかせながら黙る。
アンリは安堵をするとシャロンの頬を両手で包み込む。
「俺が呪文を唱えたら続けて言うんだ。わかったな?」
アンリの言葉にシャロンは虚ろな目をしたまま弱々しく頷いた。
『我の運命を』
『我の運、命を…』
『汝と分かち合う為に』
『汝と分か…ち合う、為に』
『我を蝕む呪いを』
『我、を蝕むのろ、いを』
『汝に半分与えよう』
『なん、じ…に半分与、えよう』
『我と汝』
『我と汝』
『運命共にあれ』
『運命…共に、あれ…』
シャロンがそう言いきった瞬間、アンリは自分の唇でシャロンの唇を塞いだ。
「!?」
シャロンはビクッと目を見開いて驚く。
しばらくすると二人の身体が光り出し、直ぐに光りは収まる。
収まるとアンリは唇を放した。
シャロンはぐったりとアンリの腕の中でそのまま意識を飛ばした。
アンリも血の気を失いグラッとふらつきながらも、シャロンをゆっくり地面に寝かせた。
「アンリ、今何をしたのです…?私はあんな魔法知りません」
アンネの言葉にアンリは苦笑する。
「師匠、すみません。説明したいんですけど目が覚めてからでも、いいですか?俺もちょっと…疲れました…」
アンリはそう言い残してシャロンの隣に倒れるように意識を手放した。