話を
波打ち際に座り込み、青い空の下を自由に飛び回るカモメを見ながらティアはじっとアンリがシャロンを連れて帰って来るのを待っていた。
「…シャロン」
こんな身勝手な自分を彼女は許してくれるだろうか?
もう戻ってこないかもしれないと、ティアは重いため息をついた。
その時ー。
「ーアっ!」
待っていたその声にハッとして立ち上がると、離れたところからシャロンがこっちに向かって走って来るところだった。
「ティア!」
待ちわびていたその声にティアも叫び声をあげる。
「シャロンっ!」
我慢してた涙が一気に溢れて来るのも構わず、ティアは泣きながらシャロンの元へと駆け寄るとギュッと抱き着いた。
「うわーんっ!シャロン!ごめんなさい!本当にごめんなさいっ!」
泣きじゃくりながら謝るティアの頭をシャロンは苦笑すると頭を撫でながらなだめる。
「大丈夫、落ち着いて。ね?ティアの話聞かせて?」
「話…?」
「うん、なんで私に隠してまで歌を歌いたかったのか教えて欲しいの」
ティアは涙を拭うと少し躊躇うように頷いた。
「わかりました。…アンリも聞いて頂けますか?」
遅れてやって来たアンリにも声をかけると、ティアは適当な流木を見つけて座る。
二人もそれに倣って流木に座り込んでティアの話を待つ。
「お腹空きません?」
二人にアンリが買って来た昼食を手渡してから、手の中で自分がリクエストしたチョコレートスコーンを弄ぶ。
「半年前に魔導船の事故があったのはご存知ですよね?」
「うん」
「その船に私の幼馴染が乗っていたんです」
「もしかして、それが原因で目を?」
最初に会った時のことを思い出たようにシャロンが尋ねるとティアが頷いた。