魔導船
「「一週間後!?」」
アンリとシャロンは同時に声を揃えて叫ぶ。
魔導船に乗るべく、意気揚々と来た二人はその受付にて想像していなかった言葉を聞いてしまった。
二人の声に驚きながらも受付の女性は困ったような笑顔を浮かべて頷いた。
「申し訳ありません。魔導船は西門、東門それぞれ一日往復一便だけでして、その為ご乗船されたいお客様は予約制で乗っていただく事になってしまうのです。…お二人分の席でしたら一週間後に乗れますがいかがいたしますか?」
女性の言葉にシャロンは渋い顔をするアンリの方を見た。
「どうする?アンリ…」
「…まぁ、仕方ないか。じゃあ一週間後で」
「かしこまりました」
「あぁ、あと一つ聞きたいことが」
柔和な笑顔を浮かべて手続きをしようとしていた手を止めて女性は顔を上げた。
「なんでしょうか?」
「グランファルーゼンは王都だ。商人など行き交う人も多いのに何故陸地と繋ぐ唯一の魔導船を一日往復一便に?」
「あぁ…それは」
女性は周りに視線を走らせ、近くに誰もいない事を確認してから二人の顔に自分の顔を近づけた。
「半年前くらいに魔導船が墜落する事故があったのですが、原因がわからなくて…。噂だと魔力が足りなくて落ちたんじゃないかって」
アンリとシャロンは顔を合わせた後、受付の女性に礼を言ってその場を立ち去る。
「…魔力が無くなった、か。原因はそれだろうな」
「魔族が原因?」
「だろうな」
アンリは重い溜息を吐いた後、気分を変えるように笑みを作る。
「さて、原因もわかったし一週間泊まる宿を探すか」
その言葉にパァっと笑みを浮かべてシャロンはスキップしだした。
「ふっかふかの布団に熱いお湯のお風呂ー!楽しみー!」