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罪人たちに夜明けを  作者: 紅月
第六章
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別れ

 しばらく歩いていると、前の方から太陽の光が見えた。


「久しぶりの外だ…!」


 アンリの隣でシャロンが嬉しそうに言う。

 それにアンリも同意して頷く。


「こんなに太陽を恋しく思うだなんて思いもしなかったな」

「太陽をこんなに見ないとは思わなかったものね」

「今回は巻き込んじゃって本当にごめんなさい」


 出口の前まで来ると、グリノリアは立ち止まり太陽を見て喜ぶ二人に頭を下げた。


「気にしなくていいって言ってるじゃ無い。グリノリアは私達を助けてくれた恩人よ?」

「でも…族長である私がもっとしっかりしてればこんな事には…」


 申し訳なさそうな顔をするグリノリアの頭をアンリは無造作に撫でると、外へと出た。


「他人の意識を変えるのは難しいのに、グリノリアはそれを変えて俺たちを助けてくれたんだ。お前が罪悪感をかんじることは無いよ」

「…アンリ」


 少し頬を赤くするグリノリアを見て、レラがそっとシャロンに耳打ちをする。


「もしかして、アンリは女ったらしなの?」

「まぁね。それも無自覚のね」

「うわっ、タチ悪いじゃん」

「そうなのよ」


 自分の事を話している二人を見てアンリは首を傾げた。


「何してるんだよ、二人とも。外に出ないのか?」

「今行く!…じゃあね、グリノリア!元気で」


 シャロンはグリノリアの手を握ると、アンリの待つ外へと出た。


「お別れだね、グリ」

「うん、レラ。…いろいろごめんね。ありがとう」


 涙を堪えて笑うグリノリアをレラはギュッと抱きしめた。


「あんたと出会えてよかったよ。いい族長になりな」

「…うん」


 しばらく抱きしめた後、レラはグリノリアから離れて外へと出た。


「三人とも!またね!元気で」

「グリノリアもな」

「またね!」

「すぐに会いに来るよ」


 三人は別れを告げると、グリノリアに背を向け歩み出す。

 それを見届け、グリノリアは涙を拭い自分の帰るべき場所へと歩きだす。

 今度、三人と会う時は胸を張って族長だと名乗れるように頑張らなければ。

 自分を変えるチャンスを与えてくれたみんなの為にも。


「よーし、頑張るぞ!」


 通路にグリノリアの明るい声が鳴り響くのだった。

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