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罪人たちに夜明けを  作者: 紅月
第六章
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勇気

 ドワーフ達の視線を一身に受け、グリノリアは足が震えているのに気づかれないよう堂々と振る舞いアンリ達の方へとゆっくりと歩く。

 今からやろうとしていることを考えると、緊張で握り締められた手の平に汗が滲む。

 本当は逃げたくてしょうがない。


 それでも、立ち向かおうと思ったのはアンリの一言があったから。

 私だって初めて出来た友達の為に命をかけて戦える。


 グリノリアはアンリ達の前に立つと、ぎこちなく微笑んだ。


「グリ、なんでここへ…」

「私も覚悟を決めたの」


 動揺するレラにグリノリアはそれだけ言うとアンリの顔をチラッと見てから、深呼吸をしてドワーフ達の方へと向き直った。


「姫様、彼らはファラ様の生贄だと言うのに逃走を図った愚か者達でございます」


 リーダー格のドワーフの言葉にアンリはギョッとしてグリノリアの後ろ姿を凝視する。

 そんなアンリの隣にそっとレラが並ぶと「もしかして、初耳?」と囁く。

 アンリは苦笑して頷いた。


 ドワーフ達の様子を見て、それなりの権力はあると思っていたがまさかお姫様だったとは。


 そんなアンリ達の会話を他所にグリノリアは凛とした声で、ドワーフ達の報告に答える。


「わかっています。騒ぎを見れば直ぐに理解できます」

「このまま生贄に逃げられてしまっては我々の未来に関わります!今、ここで儀式をしましょう!」


 その提案に、周りのドワーフが同調するように騒ぎ出す。

 グリノリアは目を閉じてしばらくドワーフ達の騒ぎを聞くと、目を開いた。


「黙りなさい!」


 グリノリアの怒鳴り声に、その場が水を打ったように静まり返る。

 その反応に、グリノリアが一瞬怯むがもう後には引けない。


「もう生贄を捧げるのはやめましょう」

「な、何を言い出して…」

「生贄をやめようと言っているのです」


 グリノリアは周りを見ながらもう一度言った。

 全員の顔が引き吊っている。

 無理は無いと、グリノリアは思う。

 長い間、ファラに生贄を捧げていたのだ。

 それをやめるとなると、動揺は計り知れない。


「何故、そのようなことを…!この鉱山の魔石の魔力が失われているのは貴女も理解しているはずです!生贄は必要です!」

「私はそう思いません」


 再び騒めき出すドワーフ達にグリノリアはさらに続ける。

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