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罪人たちに夜明けを  作者: 紅月
第六章
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救世主

「あーぁ、壁消えちゃったけど、どーする?」


 レラはそう言ってアンリとシャロンの近くに来ると、いつでも戦えるように身構える。


「ま、戦うしかないでしょ?ユエルスは使えないけど、それでもやるしかないよね」


 アンリがいるってだけでこんなに心強いなんて思いもしなかった。

 シャロンは今にも襲いかかろうとしているドワーフ達を睨みつける。


「とりあえず、誰も殺さないで脱出したいな…っ!」


 突然、眩暈に襲われアンリがその場に膝をついた。

 首を横に振ると、氷月華を地面に突き立て杖代わりに身体を支えるとなんとか立ち上がる。


「魔力使いすぎなんじゃない?」


 レラの軽口にアンリは肩をすくめた。


「多分な。…でも、ちょっと期待してるんだ」


 その言葉にシャロンとレラが顔を見合わせた。


「何に?」

「それは…「もう話してる場合じゃないみたいだよ!」


 レラの激昂にアンリとシャロンは身構えた。


「生贄を捕らえよ!」


 誰かの言葉に周りのドワーフが同調するように雄叫びを上げると武器を握りしめ、アンリ達に襲いかかってくる。

 その光景を見て、アンリは顔をしかめた。


 …やっぱりダメか。


 後はどう逃げるかを考えなくてはならない。

 とにかく今は倒れるわけにはいかないのだ。


「アンリ、大丈夫?」


 心配そうなシャロンにアンリは笑って頷くだけで精一杯だった。

 震える足に鞭を入れてなんとか氷月華無しで立つ。


 シャロンだけでも助ける…!


「やめなさい!」


 アンリが覚悟を決めた刹那、凛とした声が祭壇に響き渡った。

 その声にドワーフ達はピタリと動きを止めて騒めき出す。


「やめなさいと言っているのが聞こえませんでしたか?」


 再度問いかけられる言葉にドワーフ達は静まり返り、入り口の方へと向き屋左右に別れるとアンリ達に通じる道を開ける。

 ドワーフが退いたことによって、入り口の方が見えるようになりそこに立っている人物を確認することができた。

 その人物を見てアンリは安堵のため息をついてその場に座り込む。


「アンリ!」


 シャロンが慌てて助け起こす。


「ありがとう、大丈夫だ。…よかったグリノリア来てくれたんだな」


 安堵するアンリとは裏腹にレラはグリノリアの姿を見て唖然としていた。


「グリノリア…どうして…」


 グリノリアは真っ直ぐ、アンリ達の方を向くとこちらへと向かって歩いてきた。

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