再会
唖然としていたシャロンはやっと状況を把握すると、安堵した表情を浮かべその手を掴んで身体を起こす。
「アンリ…無事で良かった…」
「シャロンは無事…じゃないみたいだな」
そう言ってアンリは表情を曇らせて自分の手を握るシャロンの手を見つめた。
その手は赤く腫れ上がっていた。
「ドワーフ殴り飛ばしてたからね。あいつら身体が硬いのよ」
シャロンは何でもないと苦笑した。
そんな二人の元にレラが駆け寄って来た。
「お二人さん、感動の再会はいいけど状況をよく見てねぇ?囲まれちゃってるんだけど」
レラの言葉にアンリは頷いて、氷月華を鞘から引き抜いた。
「あんた、レラだな?悪いがちょっと手伝って欲しいんだ」
「あたしの名前知ってるんだ?もしかして、あたしって有名人?…いいよ、何すればいい?」
レラはケタケタ笑いながら尋ねた。
「ちょっと時間を稼いで欲しいんだ。魔法で俺らの周りにドワーフを近づけないでくれ」
「残念だけど、魔法は魔石ですぐに吸い取られて使い物にならないよ?」
「構わない。頼んだ」
アンリはそう言って地面に氷月華を突き刺した。
「全く、あんたの彼氏って鬼畜だねー」
「彼氏じゃない!」
顔を真っ赤にして怒鳴るシャロンを無視して、レラは己の主魔法である重力操作で、アンリの乱入で唖然としていたドワーフ達に大きな負荷をかける。
重力操作の魔法は魔族であるレラでさえかなりの負担になる魔法だ。
「全く…、厄介なのが主魔法になったなー。もう!」
魔力が吸い取られていく感覚がして、さらに放出する魔力を増やす。
「アンリ!早く‼︎」
「わかってる!」
怒鳴るレラにアンリは怒鳴り返すと、深呼吸をして氷月華に一気に魔力を送り込む。
氷月華の冷気は一気に広がり、一瞬で三人を包む巨大なドーム型の氷の壁を築いた。
それを合図にレラは魔法を止めると、大きく息を吐き出す。
「疲れたぁ〜ってか一気にこれを作るのはすごいね」
アンリは氷月華にぐったりと寄りかかると、ニヤリと笑う。
「魔族に褒めてもらえて光栄だな。…自分の魔法ほとんどつぎ込んだから少しは持つはずだ」
「魔族はすぐに魔力回復できるけど、人間よりは早いけど魔力回復に半魔族ってちょっと時間かかるのに何でこんな無茶をしたのさ?」
「ちょっとでも話したかったんだよ」
アンリはそう言ってシャロンに笑いかける。
「魔力の穢れが無くなったみたいだし良かった」