生け贄
「邪魔するなあああぁぁぁぁっ!」
シャロンは叫び声を挙げると近くにいたドワーフの顔面を殴り飛ばすが、ドワーフは倒れることなく痛みに顔を歪めるだけだ。
そんなドワーフに叩き込むように腹を思いっきり蹴りつけ倒すと、自分を狙う他のドワーフにシャロンは体当たりを食らわせた。
ドワーフ達の身体は日頃の鉱山仕事によって鍛え上げられ、堅く引き締まっている。
そんな身体を殴り続けて、シャロンの手は赤く腫れて来ていた。
だが、そんな事に構うことなくシャロンは戦う手を止めない。
「こんなところで足を止めるわけには行かないのよっ…!」
息を切らしながら別のドワーフを張っ倒し、後ろにいるドワーフに回し蹴りを食らわせるが、ドワーフに片手で己の足を受け止められてしまった。
「チッ…、このっ!」
シャロンは掴まれた足を軸に空いた方の足で地面を蹴り飛ばすとその勢いで、膝をドワーフの顔面に思いっきりぶち込んだ。
「くわっ!」
ドワーフはたまらずシャロンの足を放してそのまま地面の上に倒れるとそのまま気絶した。
「…はぁ、はぁ…っ!次…きゃあっ!」
体制を整えた刹那、髪を強く引かれ地面に押し倒されると身体の上にドワーフが馬乗りになり身動きが封じられてしまった。
「放せ!」
足をバタつかせるが、足が届かず逃げることが出来ない。
「うるせぇ!生け贄だからって調子に乗るな!!」
ドワーフの怒声と同時に頬を強く殴られ、シャロンの口内か裂け血が滲む。
痛みに耐え、シャロンは口の中の血の混じった唾液をドワーフの顔面に向かって吐きかけた。
一瞬怯んだドワーフの顔を見てシャロンはニヤリと笑って見せた。
その顔にドワーフは頭に血を昇らせる。
「この女ぁ!今ここで生け贄にしてやる!」
ドワーフは腰に着けていたナイフを手に取ると高く掲げて、シャロンの顔面にその先を向けると振り下げた。