魔力吸収
『我らを邪魔する者を退けろ、炎!!』
シャロンの詠唱で放たれた炎はドワーフの前に壁のように燃え広がる。
炎はドワーフ達を怯ませ退けるには十分な威力だ。
「よし…!これなら、ここから逃げられるかも!」
「あれが出でて来なければ…ねっ!」
レラはそう言いながら手の中で重力の塊を作ると、それを他のドワーフ達に向かって投げ放つ。
重力の塊を見てドワーフ達が慌てて蟻の子を散らすように逃げていくのを見ながらシャロンは怪訝な顔をした。
「あれ?」
「そう、あれ」
同意してレラは真っ直ぐ入り口の方を指差した。
そこには、数人のドワーフが人の頭ほどの大きさの丸い魔石を持って入ってくるところだった。
「何あれ?」
「まあ、見てなって…!」
レラは再び手を振り下げて、魔石を持ってきたドワーフ達の方へ重力の負荷をかけた。
…はずだったが、魔力は魔石に吸い込まれるようにして消えた。
その光景にシャロンはギョッとした後すぐに、ハッとして頬に冷たい汗が流す。
「あぁ…牢屋に使われてたあれね…」
「そ、魔力を吸収する魔石。あれを持ってこられたら魔法なんて使えないよ~?」
「なら、全員叩き潰すだけよ」
炎の壁が消え去ったことによって、ドワーフ達は雄叫びをあげてシャロンとレラに突っ込んできた。
シャロンは深呼吸すると、覚悟を決めて掌を握りしめ自分もドワーフ達に突っ込み近くにいるドワーフを片っ端から殴る。
「すげぇーな。じゃあ、あたしも!!」
レラもケラケラ笑いながらそれに参戦する。