牢屋
何とかしないと…。
熱でボーとする頭を必死に回転させるが、どうしたらいいのかわからない。
ただ、落ちていく。
どうすることも出来ずにただ落ちていく。
途中、何か紐の様なものに何度かぶつかり“カランカラン”っと音を鳴らしていた。
そうしているうちにシャロンはやっと地面にぶつかった。
かなりの高さから落ちているはずなのに、全く痛く無い。
「…な、んで…」
そう言えば地面がなんか柔らかい気がする。
確かめようにも身体が動かなくてただ横たわっているしかできない。
「いたぞ!」
「なんか、死にかけてないか?」
「いや、だけどファラ様が選んだ贄なんだ。運ばないと…」
遠くで誰かが話してる…?
そんなことを考えていると不意に身体が宙に浮かんだ。
「どうこう言ってねぇーで、連れてくぞ。とにかくここに落ちてきたってことはそう言うことだ」
シャロンはゆっくり目を開いて自分を抱き上げる男を見上げた。
褐色の肌に灰色の目。
ドワーフだ。
その男の発言でその場にいたもの全てが黙り込み歩き出した。
そのまま連れてこられたのは牢屋。
男は牢を開けるとシャロンをその中へ入れた。
「よかったな、仲間ができたぞ」
そう言い残して男たちは牢屋から立ち去って行った。
「仲間ぁ?…んなもん、入らないのに…」
牢屋の奥からそんな声と共に現れたのは、黒いローブを身に纏った人物。
「つーか、弱ってんじゃん。これじゃあ話し相手なんて無理…って、あれ?」
そう言いながら、その人物はシャロンを覗き込んで首をかしげた。
シャロンは苦しそうに息をしながら目を開き驚いて、身体を強ばらせる。
フードの中から覗き込むその目は黄色に輝いていた。
「な、何で…!ここに魔族が!?…っ」
シャロンはそう言って力尽きたのか、意識を失った。
「ありゃりゃ…めんどくさいなぁー」
フードの人物は頭をポリポリさせながらぼやく。