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罪人たちに夜明けを  作者: 紅月
第六章
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大穴

 夜の森をシャロンを背負いながら、歩くのは想像以上に大変だった。

 アンリは頬を伝う汗を肩で拭うと、シャロンを背負い直し歩みを進める。

 今は時間を無駄には出来ないのだ。

 シャロンの魔力がさっきよりも穢れが酷くなっている気がする。

 早く穢れを祓ってもらわなければ、魔力の穢れがシャロンをどんどん蝕んで行くだろう。


「…待ってろ、シャロン…」

「…」


 時々、声をかけているが少し前から反応がない。

 呼気はあるので寝ているのだとわかるが、やはり心配になる。

 その時、足元を照していた光の球が急に変な動きをし出した。

 アンリは驚いて足を止めて、球の様子を伺う。

 光の球は小刻みに震えだしたかと思えば、上下に動いた後スーっと前に何かに引き寄せられるように進んでいく。       ・・

 そして、光の球は目の前の何かに呑まれた。

 その光景にアンリはゾッとすると慌ててその場を引き返した。

 目の前にあるのは、昼間に遭遇した腐敗した魔力の塊だ。

 暗かったのと、シャロンの魔力に集中しすぎで気づかなかった。


 あんなに接近していただなんて…!


 あれに触れたらどうなるかわからない。

 迂回してリースポートに向かわなくては。


 走ることは出来ないが、小走り気味に後ろを気にしながら森の中を進む。

 それがいけなかった。

 昼間、シャロンにここはドワーフの住みかだから足元に注意するよう散々言ったのに、腐敗した魔力の塊を気にするあまりに足元の大きな穴に気づかなかった。


「うわっ!」


 大穴に気づくのと同時にアンリは前のめりに、穴へと落ちる。

 そのせいで、アンリはシャロンを放してしまった。

 その穴は結構な深さと広さを誇るようで、アンリはシャロンと共に地下へと自由落下して行く。

 アンリは慌ててシャロンを捕まえようと、手を伸ばすがうまくいかない。


「くそ…!シャロン!!」


 アンリが叫ぶと、シャロンはようやく目を覚ました。

 この状況がついていけてないような顔をするが、シャロンはアンリへと手を伸ばした。

 ほっとしてアンリも手を伸ばす。


 あとちょっと…。


 もう少しで指先が触れ合う。

 そう思った矢先、穴が二股に別れ突然二人の間に壁が割って入って来た。


 このままだとシャロンを見失う!

 その前に魔法でシャロンの方へ向かわないと!!


 魔法を詠唱しようと口を開くと、土の壁から突き出た岩に身体を思いっきり強打し、その衝撃でアンリはそのまま意識を手放した。


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