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罪人たちに夜明けを  作者: 紅月
第一章
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異変

 アンリが後ろに飛び退くと、さっきまでいた場所に落雷が堕ちた。

 アンネが召喚した鴉の楓の仕業だ。

 アンリは体制を立て直すと、すぐさま高く飛び上がり楓に斬りかかる。

 あと少しで剣が届くという刹那、突風が吹き荒れアンリは木の葉のように風に巻き上げられる。

 吹き飛ばされながら、風の来た方を見れば狐の鬼灯がこちらをジッと見ている。




 片方だけ先に片付けるわけには行かなそうだな…。

 いや、行けるかも。





 アンリはニヤリと笑うと宙で体制を整え着地を決めると、鬼灯を囲うように氷の壁を作る。


「よし、まずは楓から仕留める!」


 アンリが大きな声でそう宣言した瞬間、氷が炎で包まれた。

 氷は一緒に水へと姿を変えた。


「さっすが、師匠の魔物」


 アンリは楓から鬼灯に目標を変えると、一気に走り出す。


「やっぱり作戦変更。まずは鬼灯からか」


 剣の柄を強く握り直し体制を低くして、鬼灯に斬りかかろうと狙いを定めた。

 あと少しで、鬼灯まで剣が届く。

 そのとき、空気がピリッと張り積めた。



 来る…。



 そう思ったのと同時に雷鳴が轟、雷が堕ちる。

 アンリはこれを待っていたかのように、飛び上がり近くの木の枝に着地をした。

 落雷はアンリに当たらず地面に当たると、水を通じて鬼灯に電撃が流れ、すさまじい悲鳴をあげそのまま倒れこむ。

 その光景に、雷を落とした張本人である楓がおろおろと鬼灯の周りを旋回する。


「勝負ありだなっ!」


 アンリの声が近くで聞こえ、驚いて声の方を向こうとしたが、その前にアンリに剣で頭を打たれ楓は意識を失い地面に落下した。


「素晴らしい戦いでしたよ、アンリ」


 拍手をして離れたところで見ていたアンネが出てくる。

 着地をするとアンリは笑いながら頭を下げた。


「ありがとうございます」


 アンネはアンリに笑いかけると、鬼灯と楓の怪我を治療する。


「これだけ戦えれば国家公認試験は大丈夫そうですね」

「本当ですか!?」

「ええ。…うっ」

 

 二体の治療を終えた瞬間、アンネが頭を押さえてその場に倒れこむ。


「師匠!?大丈夫ですか!?」


 アンリに抱き起こされ、アンネは苦笑した。

 いつのまにか、治療して治った楓と鬼灯まで心配そうにこちらを見ている。


「大丈夫です、最近急に魔力が減ってきたようですね。この程度の魔法で疲れてしまうとは情けない話です」


 アンネはゆっくり立ち上がると、アンリに見られてないところで顔をしかめた。


 急に魔力が無くなることなんてあるのだろうか…。


 そんなとき、心配そうに鬼灯が自分に頭を擦り付けてきたのに気付きアンネは優しく笑うとあたまを撫でた。


「今日は無理しない方がいいですね。俺の家に来ますか?お茶でも淹れて一息つきましょう!」

「そうですね。では、お願いします」

「任せてくださ…。っ!?」


 途中で言いかけてアンリの顔が突然こわばる。

 アンリの突然の変化にアンネが眉をひそめた。


「どうしました?」

「何かを感じるんです…。この感覚は、まさか!!」

アンリはハッとして突然脱兎の如く走り出した。

「アンリ!!待ちなさい!!!」


 アンネの制止も聞かずにアンリは森の中へと消えていった。

 アンネは直ぐに楓と鬼灯を戻すと、ふらつきながらアンリを追いかける。


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