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会談

※主人公がチョロすぎと言う意見を頂いたので若干変更しました。

「199匹分のお金」→「199匹の素材全てを換金したお金」

挿入:ユーリなんて、これは優斗の成果ですわ、とか言って罪悪感すら持たない感じだったのに

「お断りします」


「なぜですか?」


いや、訳が分からない、みたいな顔されても困るんですけど


「ランクも低いですし」


「君は今日付で試験待ちBランカーです」


試験待ちBランカーとは、実力があり素行も問題ないが試験に合格していないため正式にBランカーになっていないCランカーのことだ。


「職業も補助系ですし」


「聞いています。その上で君を誘いたい。むしろ補助系でその戦闘力は是非とも欲しい」


くっ、こいつ強い!仕方ない、奥の手だ。


「あの、すみません。九条さん以外退出して貰えますか?」


従者の人がうるさい。ギルマスが気を利かせて俺と九条さん以外を退出させた。感謝しておこう。


すごい今更だが、九条さんは27歳でした。雰囲気がすごい落ち着いている。一応、敬語対象。


「すみません。聞かれたくないんで『防音』張ってくれませんか?」


「いいよ」


下級の魔法であるが、下級の魔法だからこそ相手の実力が分かる。結果から言えば、この人、魔法を極めかけてる。いいよ、と言った次の瞬間にはもう魔法が発動していた。しかも強度も最高位。


「俺の名前は、佐藤慶明と言います」


「そうだとは思っていました。黒髪黒目はなかなか珍しいですからね」


「俺は3年前に召喚されました」


「なら君も勇者ですか?私の調べでは、勇者の従者をしていたとなっているんですが」


「まぁそうですね。俺は巻き込まれた側なんで」


「巻き込まれ召喚とかあるんですねぇ。それでどうしたら断る理由になるんですか?」


「3年間従者の真似事やってたんですけど、2週間よりちょっと前に優斗っていうか聖剣の勇者のパーティー、まぁハーレムなんですが、5人になってしまったんですよ。それで俺は外れて冒険者になろうとこの街に来たんです」


「彼のことも調べてあります。かなりの功績を挙げてますし」


「正直言うと勇者の近くでどんな成果を上げても勇者の物になるわけで、人並みの出世欲っていうんですかね。まぁ僕も名誉が得たいわけです。それなんでお断りします」


「私のパーティーでは、そんなことには為りませんよ」


「違うんですよ。僕のはもう、なんか、不可避なんです。例えば、この前、キングオーガの件でお会いしましたよね」


「そうですね。魔物を殲滅したあなたの力は捨てがたい」


「その時、キングオーガにとどめを刺すだけでした。まぁつまり、良いところだけを取られたって事です。こんな事が優斗と旅をしていて何回もありました。さすがにストレスが限界なんです」


「その顔を見れば、ひどさの具合が推測できますね」


今の俺、どんな顔してるんだろう。


「そういうことなら、仕方ありません。今回あなたを誘うのは諦めます」


「ん、今回?」


「私たちは、邪神のいる迷宮で力のなさを実感しました。これから諸国を回って修行してきます。そしてまた戻ってくる。その時、またお誘いします。決して諦めませんよ」


「まぁまた会うことがあれば」


「必ず会いますよ。僕の目がそう言っています」


この人魔眼持ちか。10万人に1人なのに結構な確率で知り合いになるな。今のところ3人(優斗・クリス・九条さん)


「予知ですか」


「まぁそんなところですね。あぁそうだ。次会うときは翔太、と呼び捨てにしてもらってかまいませんよ」


「いやぁ、日本での習慣が染みついて離れないんですよ。目の敵った年上相手には敬語っていう。翔太さん、で勘弁して下さい」


「ふふっ私は慶明君とでも呼びますか?」


この親しみやすさが人気の元なのだろうか。


その後、九条さんには、あの時倒した199匹の素材全てを換金したお金を渡された。


「あれは君の偉業になるはずだっだ。不本意とはいえ奪ってしまってすまない」


と言って頭を下げてきた。ユーリなんて、これは優斗の成果ですわ、とか言って罪悪感すら持たない感じだったのに。この人かっけぇ。


「良いですよ、別に。勇者の偉業に手を貸したってのもなかなか名誉ですし」


「やはり諦めきれないな。君は必ず堕としてみせるよ」


アウト!その台詞はヤバイ。ほら、カウンターの奥でセナーテが吹いているじゃないか。


「また会う時を楽しみにしています」


握手を交わし、翔太さんはギルドを去っていった。颯爽ってあぁいうのなんだな。勉強になる。


◆◆◆


勇者訪問のあと、会議室でこのギルド支部の幹部達が集まっていた。そして、慶明と九条の会話を聞いていた。実は応接室に記録の魔道具があり会話を全部録音していたのだ。因みに九条は気付いていた。


「ギルマス、どうしますか、彼、サトーの処遇は」


「カリナ」


カリナの座っているのは、ギルドマスターに次ぐ上座。立ち位置的には序列2位の席次だ。


「なんでしょうか」


「握れるか?」


ギルマスは、サトーの手綱を握れるかと聞いた。


「無理でしょう。多分、握る前に堕とされそうです」


この時点でカリナは慶明に最大評価―伴侶とする価値がある―を下している。


「サトーは勇者に対するカードとなる存在だ。決して放してはいかん。だからといって態度を変えるな。あからさまな態度は引かれるぞ」


「「「「ヤー」」」」

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