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冒険者ギルドと従魔屋

「な、なんだってぇ!!」


「ですから、この街のギルドでは新規登録を受け付けていないんです」


俺の計画は、いきなり躓いていた。一番重要である“冒険者ギルドへの登録”が出来ないのである。


「登録がしたいのであれば、街道を下って一個前の街で登録して下さい」


「くっそぉ」


街道ってほとんど獣道じゃないですか。しかも一番近い街まで歩いて7日。転移門使用許可証なんて持ってないし。そもそもこの街に転移門使ってきたから他の街への行き方がわかんねぇ。


「なんかないのか?こう、裏技的な?ハイランカーの紹介があれば―みたいなの」


「ないです」


にべもない。


「くぅ、というか一番近い街ってどういくの」


「走ればいいじゃないですか」


「道順は?」


「ご自分でお調べ下さい」


「血も涙もねぇな」


「ありますよ。はい次の方ぁ」


留まっていても後ろの人に迷惑なのでさっさとはける


「仕方ない一人で行くか」


金はあるが護衛を雇う気はない。街を戻るくらい俺一人でもわけないさ。


あ、そうだ。帰るついでに新しい職業でも手に入れてみるか。やっと脇役Aから解放されたわけですし


ふと従魔屋の看板が目に入った。


「よし、新職は従魔師にしよう」


「従魔を買うのは後にして先に荷物を作るか」


といっても罠用の物品しか買わない。ご飯はあるし武器はいらないし。せいぜい短剣を新調するぐらいかな


◆◆◆


「こんにちわー従魔買いに来ました!」


「おう、兄ちゃん威勢が良いな」


「従魔師の職業取得からしたいんですけど」


「素人さんか、別に良いぞ。あ、でも慣れてないうちは迷宮じゃ使わない方が良いぞ」


「大丈夫です。迷宮とは逆方向なので」


「あ、帰る組か。どんなのがいい?うちよりそろっている所はまず無いと思うぞ」


「おっちゃん、俺は男だ」


「あ、あぁ、そうだな。どうした突然」


「男ならロマンを求めてしかるべき。俺は男。ならば、俺もロマンを求めるべき。ということで卵下さい」


この完璧な三段論法をみよ!!


「かかかっ、おもしれぇな兄ちゃん。いいぞ、こっちに来な」


案内されてついた場所には大量の卵が保管庫に収納されていた。そして一つの保管棚の前に来た。


「俺がオススメする卵達はこれさぁ!」


その棚にある卵の模様は、どれ一つとして見たことがなかった。


「こいつらはなぁ、既存の方法じゃ孵化しないんだよ。だが、それは卵の中身がそんじょそこらの魔獣じゃないことの証明だ。どうだ、ロマンだろ」


「超ロマンだな。よっしゃ、この中の一個くれ」


「了解だ。あ、でも高いぞ?ここにあるのは、一律30万シェルだぞ?」


だいたい中級宿屋の素泊まりが2000シェルぐらいだ


「そんぐらい一括で払えるわ!」


「兄ちゃん、この街に戻ってくる気はあるかい?」


「当然だろ。迷宮は一攫千金じゃねぇか」


「分かってんな。じゃあ帰ってきて生まれた魔獣の名前と生態の情報で前払い5万でどうだ?」


「え、そんなに良いのか?」


「おうよ。ぶっちゃけ元は取れる。魔獣学会に従魔連合、情報屋。5万は余裕だな」


「じゃあ交渉成立だな。俺この卵が良いんだけど」


それは縦25㎝横18㎝のここの中では比較的小振りな部類だ。卵全体によく見れば文字のような物がびっしり書かれていて何ともミステリアス。


「オーケー。じゃあ上で従魔師つけてやるよ」


おっちゃんは保管庫から卵を取り出し来た道を帰った。


「じゃあ職業付けと卵代、併せて35万シェルだ。」


職能スキルは高い。だが、この値段は通常価格より5万ほど安い


「おいおい、職業付けは普通15万ぐらいするんだろ」


「どうせ自分の弟子を作るのと変わんねぇよ。10万でも俺はもらいすぎだと思っているんだが・・・」


「じゃあ好意に甘えますか。はい、35万シェル」


マジックポーチから硬貨を取り出し机にのせる。といっても5万シェル硬貨なのでたったの7枚だ。


「35万シェル確認。そうだ、卵はどうする。契約はサービスだが、やっておくか?」


「お願いします」


従魔師レベル1じゃ多分成功しないだろうし


後で聞いたところあのおっちゃんはレベル800台の従魔師らしい。すごい大物だった。


「そうだ、閲覧石も買っておくか」


閲覧石とは、魔力を通せば自分のステータスが分かると言う物だ。希少価値があり高い。また大事に扱えば3年ほどもつ。


優斗のおかげでステータスは普通に見れたけど、これからはそうもいかないしな。


◆◆◆


出発前に酒場に来ていた


「え、サトーさんどっか行っちゃうんですか?」


「うん、ここじゃギルドに登録できないし」


「そんな!サトーさんは立派なうちの常連さんですよ」


くっ、金づる扱いとは、心にしみるぜ。


「大丈夫、また帰ってくるって」


「本当ですか?嘘は無しですからね!絶対また来て下さいね!」


ここだけ見れば、俺が好かれてるっぽいのに。いつものやりとりを見れば、金づるを押しとどめようとしている風にしか見えない。でも、リーネちゃん可愛いし飯もうまいんで許す。


「はいはい、じゃ、行ってくる」

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