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神域

「誰?」


俺にこんな知り合いはいない。この人、髪があった方が絶対綺麗だと思う。特に金髪のサラサラヘアーって感じの。


「申し遅れました、ウォーリス神殿騎士団隊長及びウォーリアー筆頭、イグナディオス・ウラ・アルス・ユキムラ・アールグレンと申します」


名前長!てか、ユキムラって


「え、あ、お、俺はサトーと言います」


「霊獣はご一緒ですか?」


なんだこいつ。ノゾミ狙いか?


「神託によりあなたが霊獣と旅を共にしていることは知っております。それで、ご一緒でしょうか」


「あ、はい」


鞄を軽く持ち上げる。その動作だけで理解したのか別の何かをしたのか分からないが、どうやら納得したようだ。


「どうぞ、中へ」


何が何だかわらからず取り敢えずついていく。一歩中に踏み込むと空気が変わった。


比喩ではなく本当に空気が変わった。澄み渡っていて息をするのが気持ちいい。結界のようだ。しかもかなり高度な隠蔽がかかってるっぽい。


「これに気付くとはすばらしい。神殿の周囲に張ってある結界は神殿騎士志望者の試金石となる物なんです」


ちょっと上から目線っぽいが、褒められたからいいや。効果は何だろ、隔絶?いや、それだと中には入れないし・・・・・・


「すみません、効果が分からないんですが何なのでしょうか。聖域、はさすがに規模が違いすぎますよね。魔石で陣でも組み込んでいるのでしょうか」


一応、敬語。歩き方が一般人じゃない。むしろ雰囲気と合わせて逸般人って感じ?


「おぉ。魔石陣をお知りとは。去年、魔術学院で確立された最新技術なのですが、どこでお知りになったのかお聞きしてもよろしいですか?」


え、まじで?これソフィーが使ってたんだけど。結構頻繁に。


「昔の仲間が使ってましてね」


「ふむ、サトー殿、神殿騎士になる気はありませんか」


う~ん、情報の流出を出来るだけ防ぎたいからかな?まぁなる気はないさ。


「丁重にお断りします」


「そうですか、残念です」


「あの神託はなんと」


「・・・・・・あなたを神域にお連れするようにと」


かなり間を置いて、しかも若干顔が悔しさに歪んでいた。


よく知らないが神域というぐらいだから滅多にないことなのだろう。ポッと出の若造が何で、といったところか。


それからは“神域”とやらに着くまで終始無言だった。


◆◆◆


神域とは、一言で言い表すと別世界だ。異世界から来た俺が言うのもどうかと思うが、さっきの空気が変わったなんてレベルじゃない。空間そのものが変わった。


イグナディオス(略)さんは、ここからは許可無き者はは入ることが出来ないと言っていた。まさに神の領域だ。


中に入った瞬間、気が付いたら俺は広大な海の上に立っていた。


「うわっなんだここ」


てか、俺水の上にいるし。


歩けば足の着いたところから波紋が広がる。思いっきりジャンプして着地したら少し大きめの水たまりに着地したみたいにパシャンッとなるだけだった。


「やべぇ旅してて久しぶりに地球とは別世界なんだなって感じた」


ちなみに最初の異世界やべぇは、やっぱ魔法を使った時だ。


『よく来たな、佐藤よ』


「っ!?」


声と共に途轍もない光が発生した。


まぶしくて何も見えないし、そもそもびびって声すら出ない。声なんて出したら一緒に魂まで出てく、そんな威圧感に空間が支配されていた。


『あぁすまんすまん。強すぎたか。落とすわい』


だんだんと光量が減少していく。


光が収まってそこにいたのは、でかい椅子に座ったでかいひげ面のじいさんだった。


『それは言い過ぎじゃろ』


「え?」


まさかこのじいさん、心が読めるのか?なら、これでも言ってみろ、かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこあわせてぴょこぴょこむぴょこぴょこぉっ!どうだおらぁ!


『ふむ、かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこあわせてぴょこぴょこむびょっ・・・・・・むぴょこぴょこ』


「はっ、ミスってやんの。だせぇ」


『読心の証明ではなかったのか?』


「はっ!そうだった。てか誰?」


『儂、神。戦神ウォーズと言った方がおぬしには分かると思うが』


「へぇ~」


登場シーンがぶっ飛びすぎて敬語とか頭になくなってたわぁ。


『敬語とかいらんぞ。まぁそれは一先ずおいてじゃ』


一呼吸置いた後、たれ眉がキリ眉になっていた。どうやってんだそれ。


『フルムを連れてきたのじゃろ?診せてくれ』


「分かった」


鞄が水に沈まないか心配だったが、杞憂だった。鞄の中からノゾミを出す。


『おぉフルム。またこんなちんまい姿になりよって』


「なんか呪殺やら磔やらを使った後、意識を失ってそのままなんです」


『知っておる。ずっと見ていたからな』


「ずっと?」


『正確には孵化してからじゃな。おぬしの魔力操作技術は誇ってもよいレベルじゃぞ』


当てずっぽうではなく本当に見ていたのだろう。なら


「ならなんですぐに引き取りに来なかったんですか?あなたの霊獣では?まぁ今は俺のですが」


『先代のフルムが卵を奪われてから130年ほど、儂等には子供のお使いレベルじゃ。むしろ戻ってこられんようじゃったら儂の守護など片腹痛いわ』


「なんだと!」


『まぁ落ち着け。人と儂等じゃ住む時間も空間も違うんじゃから。それよりもフルムを診せい』


俺の腕の中からノゾミがゆっくりと離れじいさんに向かっていった。


『ふむふむ神気不足じゃな。どれ』


じいさんがノゾミに手を翳すとノゾミの体が光り出した。


『あ、入れすぎた。どうも手加減が苦手じゃ』


う~ん、何だろ。40㎝台の椋鳥って感じかな。てか40㎝の時点でもう既に椋鳥じゃないが、俺はそれ以外たとえられる鳥の名前を知らねぇ。


『あとは時間が経てば目が覚めるじゃろ』


「おぉそうですか。ありがとうございます」


え、何?突然敬語?当たり前だろ、ノゾミの恩人だぞ。いや、恩神。


『なんじゃ、その手は』


「え?」


『フルムを返しに来たんじゃろぅ』


あ、当然の流れでノゾミを受け取ろうとしてた。そうだった、ノゾミの本来の居場所はあそこだったな。


返す予定だったけどもこんなに早いとは思わなかった。まだ一年も経ってねぇじゃん


「すみません。ノゾミを返して頂けますか?」


俺の傲慢だが、せめてあと1年は一緒にいたい。たとえ、神に仕える霊獣だとしてもノゾミはノゾミだ。の従魔だ。


『ふぉっふぉっふぉ、神の所有物を返せと言うか。人間とは業深きモノじゃのぅ』


ぐっ、確かに相手にモノ頼む態度じゃねぇな。


「せめて1年だけでもノゾミと一緒にいさせて下さい」


一度目を見て腰を45度に曲げる。俺の知ってる中で最大のお辞儀。


『・・・・・・』


「・・・・・・」


生き物の声は勿論、風の音や波の音さえもしない静寂が続く。1分ほど経っただろうか


『頭を上げい。フルムのステータスは見たじゃろ?そこに“佐藤慶明の守護”と書いてあったはずじゃ。フルムにとっておぬしを守るのはもはや当然のことじゃ。おぬしは人間、どうやっても100年かそこらで死ぬ。ほら言ったじゃろ。儂等にとって100年そこらなど子供のお使い並みじゃと』


「え、じゃあ」


『ほれっ、連れてけ』


ノゾミがこちらへゆっくりとだが確実にやってくる。


「ノゾミっ!」


待てずに俺からノゾミを迎えに行く。胸に抱いたノゾミは確かに連れてきた時とは変わっていた。


体長が変わっているなんてことじゃない。今にも目を覚ましそうなほど生命力に溢れている。


具体的に何かが見える訳じゃないが、確かに感じた。


『フルムは、いやノゾミと言った方が良いかの。ノゾミは霊獣じゃ。霊獣は定期的に神気を取り込まねばならん』


「神気ってなんですか」


『そのままじゃ。神の気、神が常に纏っているモノじゃ。ほれ、おぬしウラを見た時、異様な威圧感を感じたじゃろ。あれが神気じゃ』


ウラ?ウラウラウラウラ・・・・・・あ、イグナ(略)か!え、でもなんで人間が


『あやつは儂が加護を与えた。それ故じゃ』


「じゃあ、ノゾミに神気を与え続けるためには」


『おぬしが神気を出せねばならんの』


「俺に加護を?」


『それは無理じゃ』


えぇーーーー!

名前の説明

イグナディオス・・・名前

ウラ・・・加護を受けた際の洗礼名みたいなやつ

アルス・・・剣技が達人の技量に達している証

ユキムラ・・・家系に入っている勇者の名字。勇者の血が入っているという宣伝みたいな?

アールグレン・・・家名

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