クルガ村
連携って事でここまで来て気が付いたけど、ノゾミって守りと回復専門じゃね?
「じゃあノゾミ、俺のこと守ってね?」
「『クァァ』」
俺の体を光が包み込む、支援術式の光だ。さすがだな、俺のノゾミ。
いつも通り罠を使う方向でいく。
「入り口は一つかぁ。どうすっかなぁ」
大きな音ドンッ→出てきたのを殲滅→洞窟内も掃除
「これで行くか」
入り口に愛用の糸を張り、念のため糸を超えた先に落とし穴を設置した。
次に火薬を調合し爆弾を作る。小規模で出来るだけ大きな音が出るよう調整した。
「火をつけてぇ、ポッーン」
爆発するのを待つ。10秒、30秒、1分、5分。
「あ、あれ?まさかの不発?」
ドンッ
「うぉっ、驚かせんなよ、ったく」
音に驚いたのは、俺だけではなくノゾミも豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
ゾロゾロゾロとゴブリンが巣穴から出てきた。
「おい、ゴブリン共。俺はここにいるぞ!」
わざと大きな声を出しおびき寄せる。頭が弱いようで次々に糸に切り刻まれていく。運良く出られたゴブリンも落とし穴に落ち、中の槍に串刺しだ。
「なんか余裕だな」
あんまり楽すぎて気を抜いていた。
「『クァァ』」
ノゾミが鳴いた直後、カンッと何かを弾く音がした。見ると1本の矢。
「弓種もいるのか。新しいにしては戦力があるな。予定変更だ」
木の陰に隠れて毒薬を調合する。お手製の揮発性の神経毒だ。
入り口の糸の上3分の2を解除しスリングショットで毒薬を洞窟内に打ち込む。
洞窟から出てきたのは、意外にもノゾミが処分していた。足を切られて倒れていたので、首をついばむだけだ。
「ノゾミ、ようやった」
どっかの父ちゃんの気分だ。だが、血にまみれた嘴はいただけないな。ほら、この水で洗いなさ、あ、俺の服になすりつけるな!
「あぁお気に入りが・・・・・・、同じ服売ってるかなぁ」
途中から諦めて俺の服で拭いてやった。ノゾミの嘴が綺麗になった代償に俺のお気に入りがおじゃんになった。
「そろそろ良いかな?」
解毒剤を飲み、洞窟の中に入る。一応、俺とノゾミの口の周りに空気の層を作る。
隠密を使い慎重に進む。ゴブリンアーチャーが3体もいた。ばっちり首を狩っておいた。
奥に犯された女達がいた。生き残っていたのは、6人中2人。
「くそ、遅かった」
洞窟の前でのんびりしていたのは秘密だ。
「『クァァ』」
ノゾミの鳴き声と共に遺体は白い炎に包まれ骨さえ残さず燃え尽きた。おそらく浄化魔法だろう。
「君たちはどうする」
2人はまだ心が持っているようだ。
「私は帰る。何が何でも帰ってやる」
おぉまだこんなに気力が・・・・・・空元気のような気もするが。
「私も」
マジックポーチから大きなタオルケットを取り出す。
「これで体を隠しなさい」
「あ、ありがと」
「ありがとうございます」
「君たちの村まで送ろう。案内してくれ」
いや、連れてこられたから分からないか?
「私、道分からない」
ですよね。予想してました。
「あの、私道分かります!」
おぉ意外。でも、助かる。
「あ、そうだ。ノゾミ、この2人に回復かけれる?」
まるで当然と言わんばかりにクァァと鳴いた。
「「あったかい・・・・・・」」
2人はダムが決壊したようで泣き出してしまった。くぅ、俺に抱きついてこないのが残念。
2人を慰め村へと歩き出した。道中、気を紛らわすためだろういろいろなことを聞かれた。
冒険者になった理由、今までで一番嬉しかったこと・悲しかったこと、好きな物・嫌いな物、彼女の有無などなどだ。
休憩を挟み一晩かけて村に着いた。少子化が若干進み数少ない女の子が攫われたこともあり村中に暗い空気が漂っていた。
「ほら、親に挨拶してきな」
「あ、ありがとよ」
「ありがとうございました!」
もう生きてはいないと思っていた2人が戻ってきたことで村は大騒ぎになった。
村長に大いに感謝され少ないが、と硬貨を差し出してきたが丁重に断っておいた。
ノゾミが再生術式を持っているのを思い出したので、2人の処女膜も再生しておいた。
別れ際、
「こ、これやるよ」
「もらって下さいお願いします」
と、琥珀の首飾りをもらった。断ろうとしたら目尻に涙をためだしたのでもらうことにした。
感謝の気持ちのようだ。やはり良いことをすると気持ちが良い。
◆◆◆
クルガ村の婚礼
この村は女性が上位の珍しい村で一婦多夫制である。女からの求婚の際、琥珀の首飾りを渡すのが習わし。