仕事のできる課長
「あ、課長!モニタしてたんですか?」
メインモニターに課長のアバターに切り替わる。
あまりうまくいかなかった面接の後に指導割り込みがはいるのはいつものことだ。担当官が面接している様子は課長職級はもちろんチーフクラス以上は閲覧権限をもっている。その様子をみて、途中で担当を変わったりするのだ。不慣れなころはよくチーフと交換させられたものだ。
「5分まえからね、面談者の感情アラートがなったんでメインで監視対象にしてた。映像は5倍速解析、全やり取りは自動書き出しログでみてたよ。」
課長はざっくばらんな喋り方をする。こういう半官半民の組織の管理職にはめずらしい。
「いまのような面談者にはどう応対すればよかったんですかね?」
「彼の自尊心を守るために資格試験課に誘導したのだとおもうけれども・・・。」
「はい」
「面談者の適性特徴からは資格がとれたとしてもその後うまくいかなくなる可能性が高いでしょうね。」
「なるほど」
「遺伝子影響が10%未満におさえられる職能A~D群をおすすめするべきだったかもしれないわ。」
はて、職能A~D群には何があっただろか?
「彼は管理職をしていたと言っていました。」
「どうせ適性検査が導入されるまえについてた職でしょ……。」
黙ってうなずく。
「自己志向、自尊感情、権威主義がプラスで一般信頼、協調性、理論的推論能力が低い。これで管理職なんてつとまるわけないじゃない。部下は相当大変だったんじゃないかしら。」
「たしかに。」
他人ごとながらここまで言われると苦笑いしかできない。
「今回の人はギリギリだけど低自己統制特徴がでてて相当値70未満の警告が出てたら通告してね。」
「了解です。」
「気性が荒い人が必要とされる仕事もあるの。参考までに候補リストを選定しいま送るから確認しておいてくださいね。あと、先ほどの面談者については資格試験案内課にはA群を案内すべきと申し送りをしておいたわ。」
「さすが課長、対応早いですね!」
褒める終わるまもなく課長から候補リストが纏められた通知が届く。まったく、本当に呆れるほど仕事が早い。