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○○な男

修羅場に愛された男

作者: 末吉

男シリーズ最新作

あーなんだ。とりあえず訊きたいことがあるんだが、いいか?


ただ今俺が置かれている現状……どこかの犯罪組織に追われてる。というか追い詰められてる。


これって修羅場と言えるか?


…まぁ、修羅場ってのがまた曖昧だろうから答えられないだろうが、それでも答えてほしい。


今俺は三千ほどの人間に囲まれている。全員殺気をまき散らしながら。

どこかの犯罪組織なんだろうが、生憎俺には覚えもない。


ふむ。どうしたものだろうか。はっきり言って相手が攻撃するまでは何もしない主義だから、囲まれてるだけだと立ってるぐらいしかやることが無い。


ていうか、修羅場って女同士をイメージしやすいってどういうことなんだろうな?愛憎劇とかのせいか?

戦場だって一種の修羅場なんだがなぁ。そんなことを思っていたら、一斉に相手側が動き出した。


だから俺は――――――





「失神」





――――――――――全員をその一言で動けなくさせ、逃げた。









危ないねぇ、まったく。銃とか斧とか思いっきり人に向けすぎだって。ホント、誰がなんと言おうが修羅場だって。まったくね。


走る。走る。とにかく走る。そうでもしないとさっきの奴らが追いかけてくるだろうし。

殺してもいいけど、俺基本的に殺意が沸かない相手を殺す気なんてないんだよね。あいつら特に殺す気起きなかったし。


いやーどうすっか。このまま逃げ回っていくのもいいけど、それじゃぁジリ貧だしなぁ。いっそのことあいつら捕まえて放置っすかな。


そんなことを考えながら走っていたら前方からナイフが飛んできた。

難なく避けると後ろから追いかけてきた奴に当たり、そのまま悶えて動かなくなった。


…あっぶねー。毒でも塗ってあったのか?

そう思いながら刺さった奴を見ていると、またナイフが飛んできた。


余裕を持って躱す。躱す。躱す。

その度にさっき俺を追いかけてきた奴らに刺さって死んでいくが、俺は知らない。そこにいるのが悪い。

時折ナイフを避けて俺に向かってくるやつらもいたが、そいつらは石を腹に投げて気絶させた。


そんなことをしていたら周りが死屍累々に。まぁざっと数えて百人ちょっとなんだが。残りの奴はみんな距離を取って囲んでいるんだが。

この状況で俺にナイフを投げてきた奴はどうするつもりなんだろうかと思いながら、俺は背中に背負っていた大剣に手をかけた。


最近の奴らは血の気の多いよなぁ、ったく。そう愚痴りながら俺の背と同じくらいの大剣を片手で抜き、両手で握りしめて中段に構えた。昔でいう、剣道の中段の構え。


「頼むぜ、相棒」

『圧倒的力の差を思い知らせてやろうぜ!』


いつも通りの会話をし、俺は剣をだらりとおろす。

これが俺の構え。左手で大剣を持つだけの自然体に見えるが、構え。


いち早くこいつらを追っ払いたいので、サクッと終らそう。

そう考え、一番手っ取り早い方法で終わらすことにした。すなわち


「他者転移」


その一言で、俺以外のこの場にいた奴らは消えた。

大剣を背中に戻し、俺は生き残りがいないことを確認して悠々と歩いていくことにした。


『全く。名称詠唱とか反則だろ』

「旅してるんだから快適を求めるのが人間さー」

『……不老な人間が異世界にまで来て求めるのが快適さかー』

「この世界に来てだいぶたつけどな、実際」

『この世界をすべて回るまであと何年かかるやら』


途中、こんな会話をしながら。

何も恋愛だけが修羅場じゃない

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