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暗殺の青  作者: zan
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16・精神汚濁 前編

 この警鐘は、何かが起こったときのものだ。全住人への避難命令に等しい。

 広陵都市全体に響かせるため、その音はかなりの大きさだ。

「ひょっとして、魔王軍の襲撃じゃないでしょうね」

 私は不安になる。懸念していた四天王のガイの襲撃があったのではないかと。

「違うな、悪魔のにおいは感じられない」

 フェリテはそう応じてくる。となると、一体何の警鐘なのだろうか。悪魔の襲撃以外で警鐘を鳴らすほどの騒ぎ。火事か、疫病だろうか。

 そんなことを考えている間に、爆音が鳴り響いた。地鳴りまでおまけでついてくる。さらに警鐘。

 一体、何事だと言いたくなる。フェリテが窓を開けて外を見た。一瞬でフェリテとブルータに偽装の魔法が施され、人間の姿になる。

 外を見ても、さして異変はないように見える。街の中央の警鐘だけが鳴り響く。

「なるほど」

 フェリテが一人、納得したようなことを言う。何がわかったというのか。

「お呼びのようだな、しきりに魔力を放って」

 どこの誰をお呼びだというのか。警鐘だけで、それがわかるわけ?

「奴は悪魔をお探しだ。つまり、私を」

「奴って、誰なの。鐘を鳴らしている人?」

「私は直接見たことがあるからわかるけれども。あれは、田園都市のアービィだ。女勇者クレナの弟子の」

 勇者。

 勇者がフェリテを呼んでいるという。どうして?

 私にはそれがわからない。何か二人の間に因縁でもあるのか。

 そう言おうとした私よりも早く、ブルータがフェリテに顔を向ける。

「悪魔のにおいを、嗅ぎつけてきたのでしょうか」

「多分そうだろう。偽装の魔法で封じているはずだが、それでもわかるやつにはわかるってことだな。師匠ほどの力はないにしても、それなりの力を持ち合わせているとみた」

 警鐘は鳴り響き続けている。広陵都市の人々は、それぞれ逃げ出し始めていた。

 都市の外へ逃げようとする輩はおらず、全員が建物の中に閉じこもった。もはや窓から外を見ても、人は見えない。窓の開いている家も全くなくなった。

「静かになったな」

 完全に人の気配が消えたところで、警鐘も鳴り止んだ。フェリテは窓に足をかけた。

 その偽装は解かれ、背に黒い翼が広がる。そのまま窓から飛び出して鐘のあるところまで飛んでいくのだろう。アービィと戦うつもりに違いない。

「フェリテ」

 私が声をかけると、彼女はあまり感情の無い顔で振り返る。

「お前たちは、来るな。まだ万全ではないだろう。怪我が治りきるまではお前を護るのが、私の受けたホウさまからの命令なんだ」

「相手は勇者よ、勝てるの?」

 私は残り十二日となった死の期限を思い出した。

 フェリテはあと十二日の間に死ぬ。治癒術師フォンハのいうことが正しければ。しかもそれは、十二日間は生きていられるというものではない。最長でも十二日しか生きていられない、というものなのだ。つまり今日死ぬかもしれないし、明日死ぬかもしれない。

 四天王のホウが片腕と見込んだ上級悪魔のフェリテ。黒い翼をもつ彼女は、レイティの記憶でも私が見た限りでも忠義の悪魔だった。ホウを敬愛し、尊敬し、盲信している。ホウの命令を絶対に裏切らない。

 彼女自身も、素直に感情を表現しない性質ではあるが、それでもブルータに同情してくれていることはわかる。

 私はフェリテという悪魔に死んでほしくはなかった。

「勝てるとは言わないが、負けもしないつもり。それでも万一、私が負けそうになったら北へ逃げろ。海軍の動きも気になるから」

「フェリテさま」

 ブルータがその名を呼ぶ。

「どうした?」

 ようやく傷が癒えかけた半魔族の少女を、フェリテは見た。

 三日前まで厳しい責めをうけていたブルータの瞳は、黒く濁っている。その目は輝きを取り戻してはいない。

「ご、ご武運を」

「わかった」

 短く応じて、フェリテは窓から飛び出していった。


 飛び立ったフェリテは翼を広げる。背中から槍を抜いて、右手に握る。大仰なローブとマフラーをはためかせて、その姿のまま町の中央を目指していく。

 私は窓から出て宿の屋根まであがった。そこで周囲の精霊にささやきかけて、視力の強化を手伝ってもらう。もちろん、フェリテの戦いを見守るためである。

 大地の精霊の力によって遠くを見る。鐘のある位置を、私の両目ははっきりととらえる。そこには確かに一人の男がいた。彼が、アービィだ。

 飛翔の呪文でふわりと空に浮かんで、民家の屋根に立ったその姿。真紅のローブ。巨大な杖。暗い色の髪。顔はまあ悪くないんじゃないか、というくらいのもの。鼻がおおきいのがなんだかかわいい、といえただろう。彼が勇者でなければ。私たちの敵でなければ。

 アービィは上機嫌のようだ。笑っている。これから行う戦闘が楽しみで仕方ない、そんな感じである。

 彼の持つ杖は、彼の背丈を上回るほど長く、大きい。地面につける先は鋭利になっており、刺すことができそうだ。逆側には大きな玉石が三つもはめこまれて、魔法陣をかたどったデザインがほどこされている。金属製で、そのままでも打撃武器として使えるだろう。

 そんな勇者アービィに対して、我らがホウの片腕である上級悪魔フェリテ。いつもの大仰なマフラー、ローブ。その手には使い込まれた愛用の槍が一本。シンプルゆえに、信頼性の高い凶器ひとつだけだ。

「でてきたな」

 舌なめずりをし、アービィは獲物を見る目をフェリテに向けた。

 フェリテは問答に応じず、攻撃を仕掛けた。移動した勢いを殺さず、そのまま勇者に向かって突撃。槍で攻撃を繰り出す。話をする時間ももったいないと言わんばかりの態度だった。

 アービィはフェリテの槍に対して杖を掲げる。防御障壁の呪文を展開したと考えられた。

 予想通り、フェリテの槍が障壁魔法によって弾かれる。その事実に、フェリテの顔が少しだけ歪んだ。

 そこらの魔法使いが扱うような障壁魔法なら、簡単に貫通できて当然の攻撃だったからだ。これを弾いたということは、アービィの実力はそんじょそこらの魔法使いの比ではないということになる。

 両者は、次の一瞬に魔法を放った。フェリテは攻撃を仕掛けながらも練っておいた魔法を。アービィは左手に練っていた魔法を。

 衝突後、吹き飛んだのはアービィだった。

 フェリテの一手は力任せに障壁を押し破るための『地脈の魔法』、アービィの一手はフェリテを押し飛ばすための『黒色の魔法』。しかし、アービィの魔法はフェリテの魔法障壁を突き破らず、フェリテの魔法はアービィを押し飛ばした。

 アービィは屋根の上を吹き飛び、別の民家の屋根まで転がる。ぶざまな格好ながらも素早く起き上がり、迫ってくるフェリテに次なる魔法をねじ込む。その早業は、見事というほかない。

 これほどの速度で三連続で魔法を唱えるというのは、並大抵の魔法使いにはできないことだ。さすがにクレナの弟子というだけのことはある、と私は感じた。

 だがフェリテは動じない。アービィがねじこんできた『黒矢の呪文』をたやすく回避し、槍を突きこんだ。その一撃で防御障壁が砕け散る。

 そのまま直進した槍がアービィの胸を刺すかと思われたが、すんでのところで杖を引き戻した。必死の防御が成功し、なんとか命を拾うアービィ。

 実際、圧倒的だった。魔王軍四天王の片腕という地位は伊達ではなかった。フェリテは強い。

 上級悪魔の面目躍如。勇者ラインには手も足もでなかった彼女だが、それはラインが強すぎただけのことなのだ。その証拠に、勇者の名をもつアービィをこんなにも圧倒している。

 しかしさすがに敵も勇者の一人。そう簡単に殺されはしなかった。

「お前の実力はわかったぞ」

 魔法使いとは思えぬ俊敏性を発揮し、フェリテの槍をかわしながら言う。

 何か奥の手があるのだろうか。

 そう思ったときには既に、彼は右手に何かを握り締め、それを振り上げていた。何かの魔道具。魔道具なのだが。

 私はそれに形容しがたいほどの何かを感じた。気配だ。圧倒的な気配。

 それは、私が知らないもの。魔族でも人間でもないものの、とてつもない力を託された何か。

「ドラゴンですね」

 窓からこれを眺めていたブルータの呟きが聞こえた。半魔族は目がいいらしい。この距離であれが見えるなんて。

「フェリテ」

 私は彼女の身を案じた。

 アービィが使った魔道具は、ブルータの言ったとおり。おそらくはドラゴンの力を付与されたものだからだ。何か、恐ろしいことがおこるに違いなかった。

 掲げられたドラゴンの魔道具。それが何かを発動する前に破壊しようとしたのか、フェリテは果敢にもその魔道具に槍を突き込んでいた。

 しかし、破壊されない。壊れなかった。

 槍。フェリテの使っている槍は歴戦の武具。相当の威力があるはずだ。

 にもかかわらず、魔道具は破壊されない。アービィはその効果を発動させることができた。


 そこに出現したものは、炎だった。

 ただの炎ではなく、業火。一軍隊程度なら丸ごと包み込んで燃やす尽くしてしまいそうなほどの火炎。

 アービィの掲げた、ドラゴンの頭の形を模して作られた手のひら大の魔道具。そこから、それほどの業火が放たれたのである。

 それって、当然のことだけれども街が無事にすまない。家屋が無事にすまない。破壊される。

 ドラゴンが吐き出したような強烈な炎がフェリテに直撃、しかもそれだけで終わらない。魔法的防御を備えない民家があっというまに高熱によって破壊された。彼らは、民家の上で戦っているということを忘れているのではないだろうか。

 それも、勇者が町並みを破壊するなんてこと。

 広陵都市の自警団たちは何をしているというのか。警鐘が鳴ってからもうずいぶんになるのに、誰一人この戦いに介入しないなんて。

「ハハハ、見たかぁ。これこそ師匠の持っていた至宝のひとつ。ドラゴンのブレスを再現した地獄の業火を食らわせるものだ。これを個人レベルの魔法障壁で防げた事例はないぞ」

 足場となっていた民家の崩壊に巻き込まれていくフェリテを見て、アービィは高らかに笑った。

 こいつ、本当に勇者の名をもっているのだろうか。なんで、一般市民を戦いに巻き込んで平然としていられるんだろう。

 フェリテがローブのあちこちに炎をつけたまま、崩れた民家から飛び出す。大きく背中の翼を羽ばたいて、残っているわずかな炎を消し飛ばした。

 あきれたのか、それとも人間なんてその程度だと見下しているから失望もなかったのか、フェリテは何も言わない。今の一撃でのダメージはかなり大きいようだが、かまわずに槍を構える。

「降参しろよ」

 性懲りもなく自分の前に立つ悪魔に対し、アービィは再び魔道具を構えた。仰々しいほど巨大な杖は左手に握られ、使う様子も見せない。

 再び魔道具から炎が飛び出す。フェリテはそれを回避しようとしたが、間に合わない。

 黒い翼を、赤い炎が焼いた。

 余剰熱が周囲の民家を燃やした。外壁が石造りの家は直接燃えないが、中の家具や資材が燃えている。それほどの高熱。中に人間がいるとしたなら、どうなっているかなんてたやすく想像できる。

 勇者が住人達を殺している。私の目にはそう見えた。

 戦いに巻き込んでいる。積極的に、住人の命を危険にさらしている。アービィはこの都市で戦闘を仕掛けてきたし、非戦闘員を積極的に殺戮しているのも彼だ。

 黒い。アービィという男は、黒い男だ。服装ではなく、心が。

 自分の目的のために無辜の人を巻き込むことにためらいが無い。

 戦闘においても、力関係が逆転している。魔道具を掲げて次々と炎を吹き上げるアービィに対して、フェリテはなす術もなく焼かれ放題だ。彼女の作る魔法障壁もドラゴンのブレスにも匹敵するあの攻撃を食い止められない。

 加勢するべきではないかと感じた。実際、周囲の精霊は嘆いている。焼かれた地の精霊が騒ぎ、炎の精霊が叫んでいる。しかし、私に何をしろというのか。

 アービィ個人の戦闘能力だけなら、フェリテ一人で簡単にあしらえる程度のものでしかない。しかし、あの魔道具は危険である。

 おそらくは彼の師匠であるクレナが北のドラゴンから接収した秘宝だ。それを譲り受けたか盗んだかして、振り回している。何の遠慮もなくだ。

 妖精である私に対して、地の精霊がしきりに人間や大地が焼かれているのを訴えてくる。その嘆きは、私の生命に直接響く。

 いつものことだ、と一蹴するのはたやすい。魔法使い同士の戦闘でもあればすぐさま精霊は嘆いてこうしてくる。たとえ、私にその戦闘を止める力なんてなくてもだ。力を蓄えて具現化した精霊ならともかく、魔法使いに吸収されるくらいしかないような力の弱い精霊は、この状況をどうにもできないから。彼らに出来ることは、意思の疎通がしやすい、妖精である私に訴えてくるしかない。

 とはいえ、私だってただの妖精でしかない。魔法は使えるけれども無敵ではないし、不死身でもない。落葉の妖精ルメルは、精霊使いのバロックに保護されていた力の弱い妖精の一個体にすぎないってことを精霊たちはわかっていない。

 アービィが次々と家々を燃やしていく。フェリテが民家を盾にすればそれを容赦なく焼く。一面を荒野にでもするつもりなのだろうか。それとも彼は、人民を虐殺するのが楽しいのだろうか。同じ人間でありながら。

 精霊の騒ぎが大きくなる。異常事態に気付いた人々が悲鳴を上げ、家の外に飛び出して逃げ出し始める。それでも家の中に篭る人々もいるが、熱は彼らを炙り続ける。

 なんでこんなことを。実際に悪魔に占拠された砂漠都市でさえもここまでひどいことにはなっていなかったはずだ。ガイが攻めた沿岸都市だって、血だまりの中に沈んでしまったような有様だったけれども建物はここまで焼かれていなかった。

 それを、勇者のはずのアービィという男がしているのだ。

 私は視線を下げる。ブルータを見た。

 半魔族のブルータは、何も感じていないような無表情で燃え上がる街を見ている。その瞳が絶望に濁りきっているのは、今まで変わらない。彼女を今支えているのは、母親に会いたいというそれだけの気持ち。人間達がどうなろうと、どうも思わないのかもしれない。

 かわいそうなブルータ。

 私が勝手にそう思っていると、不意に彼女が動き出した。

「どうしたの」

「フェリテさまを、助けに行きます」

 ちょっと。あのドラゴンブレスを浴びにいくわけ?

 私は飛び降りて、ブルータの肩を掴んでいた。正直言ってあの魔道具に正面から挑んだら骨も残る気がしない。

「あんなのぶつかっていったら焼け死ぬと思うけど。ここはフェリテにお任せよ、それに危なそうなら北に逃げろって言われたでしょう?」

「大丈夫です」

 何が大丈夫なのかわからない。

 私は引きとめようとしたが、ブルータは窓から飛び出していた。着地を決めて、すぐさま走り出す。もう動き回れるくらいに回復したの、と言う暇も無い。

 偽装の呪文が剥がれ落ちて、青いローブと片方折れた角が露出する。

「あの勇者を放置しては、おけません」

「それはそうだけど」

 ブルータは走りながら魔力を溜める。騒いでいた精霊たちは喜んで彼女に協力する。この騒ぎを鎮めてくれるのなら、と進んでその身をブルータに捧げていく。

 簡単に、膨大な魔力がブルータの右手に集中された。それを精神・暗黒系統の中級魔法に練り上げながら、なおもブルータは走っていく。

 この事態にアービィやフェリテが気付かないはずがない。

 実際にすぐさまフェリテからは警告が飛んできた。

《何をしている、北へ行けといったはずだろう》

 思念会話が飛んでくるものの、私の意思じゃなくてブルータが突き進んでいるのだからしょうがない。

《ブルータがどうしても放置できないっていうから。私も援護する》

 こうなっては仕方ないので、私もアービィを打倒するために戦うことにする。三人でかかればドラゴンブレスも何とかなるかもしれない。少なくともこの状況を打破するきっかけにはなるだろうと思う。

《好きにしろ》

 少し間があいてから、諦めのような言葉を送ってくる。ホウから私たちを護るように命令された身としてはつらいだろうと思うが、何しろその護衛対象が自ら飛び出したのではどうしようもない。

 それにしても、暑いったらない。ドラゴンブレスのせいで熱風が吹いている。

 アービィに近づくほど、熱がひどくなる。私はブルータの服の中にもぐりこむことにした。彼女のローブは未だ霧の衣装。暑さ寒さに耐性をつくってくれるはずだ。

 予想通り、霧の衣装の中は温度が一定に保たれている。これは便利きわまりない。

 とはいえ、さすがの霧の衣装でもドラゴンブレスをまともに浴びたら灰になるのはわかりきっている。ブルータは魔法障壁を纏ったが、そんなものはカーテン程度の役割しか果たしてくれないだろう。

 となれば攻撃される前に、元凶であるアービィを不意討ちで一気に仕留めるしかない。ブルータもそう思っているのか、右手に練っている魔法は『幻影剣の呪文』であるはずだ。これで射程距離ぎりぎりから相手を打ち抜く。

 そのはずであるが、ブルータは魔法を練っている右手を見つめて、首を振っている。

「どうしたの」

「不思議なことですが、なぜか魔力がうまく扱えません」

 言われて、ブルータの右手を見てみる。確かに魔法に練り上げられつつあるが、その変換効率が悪い。それも、遅々としてすすまないのだ。

 レイティの記憶の中ではブルータの実力は高く、幻影剣の呪文も簡単に扱っていたはずだ。どうして今さらこんなことが起こるのか、奇妙に思う。

 まごついていても仕方がないので、精霊たちに呼びかけてブルータを助けてあげるようにいう。結果、多少効率があがるが、それでも前に比べると遅いし、効率も悪い。

 精霊たちは騒いでいたし、破壊活動をするアービィに憎悪しているのでブルータに積極的な協力をしている。なのに、これほど魔法がうまくないということは、ブルータに原因があると考えられた。洗脳が解けたくらいで、これほど実力が下がるということはありえるのだろうか。

 そこまで考えて、思い当たった。

 四天王のリン。彼女が何かをしたのではないかと。

 閉鎖空間に閉じ込めるときに、ブルータから魔力をうまく扱うための何かを奪ったと。記憶か、何かを。ありえることだ。

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