3.5 Operation Savannahの補足
1.Operation Savannah開始時の状況
ポルトガルの植民地統治は本国で起こったカーネーション革命によって終焉を告げた。アンゴラは共産勢力と反共産勢力の権力闘争となり、銃弾が飛び交う武力衝突へと発展した。
1975年8月の終り頃、FNLAに対する訓練を開始した。Silva PortoでUNIAに対し120㎜迫撃砲の訓練が行われた。
南アフリカ国防軍はUNITAとFNLAを支援し、陸海空三軍を投入した。
2.Operation Savannah
1975年、SADFは南西アフリカの国境を越えた。迅速にアンゴラ南部の主要都市を占拠、UNITAに渡された。進攻作戦に投入されたSADFは以下の編成であった。
●Task force Zulu:van Heerden大佐指揮、UNITA、FNLA、旧ポルトガル軍、南アフリカ軍の混成。Battle Group Alpha(Delville Linford中佐指揮、2個中隊)、Battle Group Bravo(Jan Breytenbach大佐指揮、3個中隊)の2個戦闘団で構成され、アンゴラ南西部を席巻した。
※B戦闘団は当初、A中隊(Connie van Wyk中尉指揮下、3個小銃小隊。ポルトガル兵が小隊長を勤めた)、B中隊(Jack Dippeaar中佐指揮下、3個小銃小隊。3人のReece伍長が小隊長を勤めた)の2個中隊と迫撃砲(第二次世界大戦の骨董品、3インチ迫撃砲)・機関銃(第一次世界大戦のヴィッカース機関銃)・対戦車各1個小隊で構成される。個人携行火器としてFN小銃、ステンガン等が使用された。
●Battlegroup Foxbat:Eddie Webb中佐指揮、UNITAの大隊とSADF装甲車中隊(Johan Holm大尉指揮下、Eland 60、Eland 90)がアンゴラ中部を進攻。
●Battle Group Orange(Task Force Alfa):UNITAの大隊とSADF装甲車中隊、砲兵、歩兵中隊の増強を受けていた。
●Battle Group X-Ray(Task Force Bravo):UNITAの大隊とSADF装甲車中隊、砲兵、歩兵中隊の増強を受けてアンゴラ東部を進攻した。
※この他にSAAFは1975年7月から1976年3月にかけて第28飛行隊のC-130、C-160輸送機が空輸任務に、キャンベラ爆撃機が対地任務に従事した。Recceの活動や、北部アンゴラのFNLAを支援して第1落下傘大隊から人員が送り込まれていた。
ZuluがBenguelaに到達する頃、呼応する形で10月2日にFoxBatがKuito(Silva Porto)を西進、アンゴラ中部のHuambo州を横断しBenguela州へAlto Hama~Lobitoと前進した。
Cuanzasul州沿岸部をZuleが、中部をFoxbatは北上しCombaへ、東部をOrangeがAndulo~Mussende~Malanjeと進む。同じくSilva Portoを起点にX-RayはLuso(Luena)へと東進した。
ポルトガル植民地戦争中、MPLAの戦闘部門に過ぎなかったFAPLAはMPLAが正当政権として国際的に認められるとアンゴラ正規軍としての地位を固めた。プロフェッショナルとしての軍隊が一昼一夜で出来るわけもなく、アンゴラ内戦勃発時は機甲戦力すらまともに保有していなかった。その後、東側諸国の本格的援助によってT-54/55戦車やBTR-60、BMP-1装甲車を有する近代陸軍、Mig-19戦闘攻撃機、Mig-21戦闘攻撃機、Mig-23戦闘機、Su-23戦闘攻撃機を有する空軍へと組織・装備を拡大した。
戦場で鹵獲されたFAPLAの装備はUNITAやSADFに有効利用された。例えばB戦闘団に2門鹵獲されたソ連製B10 82㎜無反動砲がランドローバーに車載され、対戦車/対車輛で活躍し前進を助けた。
11月5日、第14野戦連隊長Joffel van der Westhuizenは北西軍司令官より招集を受けた。
11月11日、共産圏に援助されたMPLAによってアンゴラが公式に独立されたとされるその日、第14野砲連隊からCris“smokey”Bouwer大尉率いる88㎜G1(25ポンド砲)1個中隊がTask force Zuluの支援体制に入った。11月19日、P中隊は引き続け中部戦線に転戦する。
OrangeにはPhillip du Plessis大尉指揮下、140㎜G2(5.5インチ砲)1個中隊の支援が与えられていた。
ベンゲラ鉄道沿線のCubelでB戦闘団A中隊はFAPLA40名殺害の戦果を得る。
Nova Lisboa(Huambo)では敵に機甲部隊こそいない物の、60㎜迫撃砲、82㎜迫撃砲、B10 82㎜無反動砲、RPG-7、AK-47、スターリンオルガンを装備したFAPLAに遭遇した。
11月23日、Eboの戦いにおけるFAPLA側の戦力はBM-21と76mm砲がそれぞれ一個中隊と対戦車ロケット中隊。Eboの北16㎞でBattle Group Foxbatの装甲車がFAPLAの76㎜砲の攻撃を受けた。
橋梁が破壊されていなければ電撃的な進撃でLuandaもUNITAの手に落ちていたであろうと予測できる。
3.結果とその後:Operation Savannahは南アフリカが表舞台に出て戦う事になった作戦で、アンゴラ介入は戦争の長期化へと発展した。だが本作戦でSADFの軍事的成果は否定できない事実である。