11.猟犬の系譜、31 Battalion
はじめに
1975年、サイゴンが陥落し南ベトナムが崩壊すると世界に共産主義の脅威とドミノ現象の恐怖を見せつけた。遠く離れたアフリカであっても他人事では無かった。
ポルトガルから独立を勝ち取ったアンゴラではUNITA、MPLA、FNLAの三者に各国の思惑が入り乱れ内戦が始まった。結果として首都を制圧したMPLAが正統性を主張したがそれで収まる筈もなかった。
アンゴラの共産化を阻止すべく、南アフリカはUNITAを支援しサバンナ作戦を実行に移した。この時に活躍したA戦闘団を母体としており第31大隊は誕生した。数字的に考えるなら第32大隊のお姉さんか兄貴か?
第31大隊は南西アフリカ地域軍(SWATF)の編成に当たり即応部隊に組み込まれ1981年、第201大隊と名称が変えられた。なんやかんやとあって1989年に第31大隊に名称が戻ってSADFに復帰した。
1.第31大隊の特色
a)Recce Wing
アパルトヘイトで人種差別のイメージが強い南アフリカだが、狩猟民族である現地人は白人よりも優れたトラッカーである事を認めていた。現にブッシュマン4名と白人2名からなる偵察ティームを運用していた。人的資源の活用である。
テロリストの殺害戦果は1977年18名、1978年21名、1979年34名、1980年は18名と少し減っているが活躍している。
b)Romeo Mike(RM team)
RMティームは半分が予備として対地雷防護されたBuffelで車両移動し、残る半分が徒歩移動でトラッカーを行う偵察ティームで、標準的なトラッカーの運用を生み出したと言える。
2.第31大隊の参加作戦
1975年10月に始まったサバンナ作戦は南アフリカにとって初の大規模な越境作戦となった。この作戦でDelville Linford中佐の指揮するAlpha戦闘団はBushmanの2個中隊で構成されていた。(この時の服装はポルトガル軍の戦闘服にG3やFN小銃で特徴的な印象が残らない物だった)10月9日のPerreira de Ecaの戦いはA戦闘団が左翼から、Jan Dirk BreytenbachのB戦闘団が右翼から挟撃した。Sá da Bandeira(Lubango)ではFAPLAの122mmロケット砲に遭遇したが抵抗を排除した。
第73自動車化旅団のKoos‘Proppies'van Heerden大佐の指揮下においてズール任務部隊は、占領後をUNITAに任せて敵を各個撃破、急進した。この戦いは自動車化部隊や特殊部隊の有用性を証明したが、砲兵の器材が古いと言う事も立証した。この作戦でアンゴラの精密な軍用地図は用意されておらず、市販の道路地図が試用された。
※自由のために戦うポルトガル人が参加していたとあるが、傭兵と混同される事もあり詳細は不明。
1976年9月9日、公式に第31大隊に呼称を変更された。大隊の部隊章であるカラス(Crow)はこの時期に作られた。宿営地がキャンプアルファー(Camp Alpha)からキャンプオメガ(Camp Omega)に変更となったのもこの時期だ。宿営地では地元住民への教育や医療サービスの提供も行われていた。
※南アフリカの撤退後、ナミビアのオメガ空港として運営されており、周辺は南アフリカの運用していた頃と同じ景観を保っている。
セクター70に分類されるザンビアは、フロントライン諸国の一翼を担い敵勢力圏と言えた。その為、偵察は欠かせず1978年8月にFronnie du Toit大尉を指揮官とする6名のティームが送り込まれた。結論から言うと、ザンビアにSWAPO基地があった。
1981年は激動の時期と言えた。Operation Carnationに始まり、Operation Handsak、Operation Daisyと立て続けに作戦参加した。
8月に実施されたOperation CeilingではT54戦車を鹵獲している。
大隊は常に最前線で戦い続け、1988年のOperation Hilti/Hxiteにも参加している。
3.指揮官、編成など
アンゴラに介入し、第31大隊は1974年の部隊創設から1990年まで8人の指揮官を輩出した。
Delville Linford中佐 1974年9月~1977年7月:砲兵出身で、Alpha戦闘団指揮官を経て初代第31大隊長。
Coen Upton少佐 1977年7月~1977年12月
Piet Hall中佐 1978年1月~1980年12月
Frans Botes中佐 1981年1月~1982年12月:初代第201大隊長。
Brian Adams中佐 1983年1月~1985年12月
Johan Jooste中佐 1986年1月~1986年12月
P D van der Merwe中佐 1987年1月~1987年12月
Callie Sanders中佐 1988年1月~1990年3月:アンゴラ派兵で最後の大隊長。
1980年の編成では以下の通り。
A中隊:Joe Lamprecht大尉
B中隊:Gary Francis大尉
C中隊:Francois Gunther大尉
D中隊:Les Rudman大尉
Recce Wing:Koos Stadler中尉
大隊本部
2IC:Thys Buitendag少佐、RSM:Chris Schutte准尉




