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lucid love  作者: 朱希
本編
23/25

21

それは魔法の言葉






君と僕の







秘密の印







lucid love 21










いよいよ会場が真っ暗になりライブが始まった。

今回の15周年のライブはファン投票がありその上位の曲やanfangお気に入りの曲が含まれていた。

最初の曲は幻と言われていた『さよならの瞳』

静かにイントロが始まるとカナンの声が聞こえてくる。

あの時ファン皆が涙した頃が思い出されていた。

それからしばらく昔の曲が続いた。

やはり昔からのファンは今は歌わない曲を歌って欲しいのだろう。

それからたまに新しい曲が入る。

「これねー!どうしても入れたかったの!だって一度もライブで演奏したことなかったから!」

そして演奏されていくanfangお気に入り曲。

ファンたちはそれぞれにそのころ自分にあった出来事を含めて思いだしていくようだった。

終盤に差し掛かると暴れ曲が多くなっていく。

「ふふっ、一度作ってみたかったんだよね。カナンくんとの楽曲。」

『夜に汚れし我がマリア』を歌ったあとのMCはアマネだった。

「皆もエロい香南くん聞きたかったでしょう?」

すると客席から聞きたかったー!のレスポンス。

カナンはアマネを睨む。

「ふふっどうやら王子が怒ってるようだし次に行こうか。」

アンコール前の最後の曲は『double smile』だった。







アンコール前の休憩、翔はため息をついた。

「いや、熱いな。anfangのライブは。」

「流石だね。」

「しかもschatzからか。他も歌ってくれんのかな…」

「あのアルバムライブしなかったから一生歌わないと思ってたけど…歌ってくれると良いね。」

先輩たちはそれぞれ感想を述べていた。

そんな中、双子たちは違う意味で感動していた。

「にーちゃんたち、歌ってくれたね。」

「うん。」

二人への特別な言葉が込められているこの曲は二人も生で聞いたことがなかった。

だから余計に感慨深いものがあった。








アンコール一曲目は『幻-seventh ocean-』だった。

カナンの周りが一番暖かくそして切なさで包まれた瞬間だった。

終わるとMCが始まる。最後はカナンのMCだった。

「昔の曲から、最近の曲まで歌ったけど、盛り上がれたか!!!」

客にマイクを向けると客がいえーい!!!と盛り上がる。

「俺たちも、曲を決めている時に何にしようかとても楽しんで悩んだ。まさか、一位が『さよならの瞳』になるとは思ってなかったけど。」

しかし客から聞きたかったー!との声が多くなる。

さすがにメンバーも苦笑する。

もう一生歌うことはないと思っていた曲だったのだ。

「あれは、また温存していつか歌いたくなったら歌う。それまで忘れないで大切に胸の中で暖めておいて欲しい。」

客からは拍手が送られる。

「最後の曲は、俺たちもだが、皆新しい一歩を歩んでいく。明日なんてわかんねえ。けど、ゆっくりでも歩いていくしかねえんだ。そんな明日へ向かう皆へ『lapis』聴いてくれ。 今日はどうも有難う。」

カナンが深く礼をすると演奏が始まる。








大丈夫という言葉

きみは信じるかい?

僕は信じるよ



君も知ってるはず

空がきみを歓迎することを

海がきみを迎えに行くことを

香りがきみを抱きしめることを

太陽が上ることを

それは君の明日を照らすために



だから恐れないで

魔法の言葉が君を包み込むから









瑠唯は目を見開く。

瑠唯が悩んでいたことを知っていたのかもしれない。

いつの間にか目に涙が浮かんでいた。

瑠唯の胸に言葉があふれてきた。













しかしアンコールが終わると感動するどころではなくなった。

舞台にスクリーンが現れる。

そしてでかでかと現れた文字に客も瑠唯たちも驚く。







『anfang活動休止宣言』








ファンたちの絶叫が聞こえてきたのは言うまでもない。













「にっにーちゃんあれはっどういうこと!?」

公演終了後瑠唯たちは急いで楽屋へ向かう。

七海はショックで倒れ込んだ琴乃を玲人と一緒に看病するために一樹と先に帰っていた。

「ああ。休止だ。しばらく長い夏休みをもらうことにした。」

「もう頭ぱんぱーん!しばらくお休みいただいて自分の好きな音楽をすることにしたんだよん。」

あっさりと述べるカナンにニコニコと説明する夏流。

「まあずっと同じことをしてるって正直自分に合わねえんだよな。ちょっと違うことするっていうのが一番いいんだよ。」

「それぞれずれが生じてきたしね。そろそろ、自分の遊びに時間使っても良いかなってね。」

lugnerメンバーは呆然とするしかなかった。

「俺たちはこれから何を目指していけばいいんすか!?俺たち、この1年ちょっと頑張ってきて…いつかanfangを追い抜くために…」

龍之介が叫ぶ。今まで頑張ってきたものが崩れたように感じていたのだ。

それを遮るように香南が立ちあがる。

「待たせたな。俺がお前らのプロデューサーをするから。」

「は?」

香南の言葉に目を見開くしかできなくなる。

「曲も、俺が認めなければ出さねえ。anfangを追い抜くってことはそう言うことだろ?お前らはそう思ってやればいい。俺はお前たちを売るためによりいいものを作れるようにする。どうだ?」

「にーちゃ…」

瑠唯が呟く。香南が瑠唯の方を向く。

「やっぱ何もしねえのは無理だ。けれどこれだったらお前がやりたいこと十分にできるだろ?お前の音作れるだろ?これが俺たちなりの特典。だから、『大丈夫』だ。」

「…っ」

瑠唯が再び涙を流し香南を抱きしめる。









大丈夫、大丈夫なんだ。
















それから半年後香南はネクストから小さなプロデュースレーベルを立ち上げた。

その名も『Sieben Düfte』

暖かな音、けれど悲しい旋律。不思議な感覚に陥る曲はたちまち人気になる。

ヴォーカルである瑠唯の声の広さ、表現力も高い評価を得ることになる。

数年後anfangは再び復活をするがその頃にはanfangに劣りもせず絶大な人気を誇るバンドに成長する。

小さな天使はこうして旅立って行ったのである。













fin






あとがきは明日書きます。

今まで読んでいただきありがとうございました!

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