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lucid love  作者: 朱希
本編
22/25

20

夜のマリア







君の乱れた笑顔







にこやかに







おだやかに







狂わせてあげて










lucid love 20












lugnerの件が終わった春頃にanfangは新曲を出した。

題名は「夜に汚れし我がマリア」

この曲は周と香南の合作だった。

今まで合作などしたことのなかったanfangにとって挑戦であり、ファンにとっても意外なものであった。

そして冬ごろにアルバムを出した。それは結成15周年を記念してのものだった。

そのアルバムは少し変わっており、今までの曲を違う作曲者がアレンジを加え再び演奏した物であった。

その中には13番目の祈りもあり、アレンジを加えたのが燎で希望のある曲に仕上がっていた。

そして翌年の春からは15周年ツアーが始まることとなっていた。












先輩たちが卒業し、2年になった瑠唯は自宅から高校へ通っている。

流石に勉強もしなければ高校に入った意味がないと朝早くから学校へ行き勉強をしている。

おかげで最初のような点数は取れないもののある程度上位についていた。

先輩たちは卒業をしてからネクストの事務所で少しではあるが働かせてもらっている。

そして放課後はバンド活動に精を出している。

瑠唯の高校入学祝いは結局ギターだった。

それで曲を作ったり、ライブハウスで演奏したり活動は様々だった。

たまにメンバーが瑠唯の家に来てはDVD鑑賞やミーティングをしていた。

そして今日も瑠唯の家でご飯を食べていた。

夜遅くなため一樹は今日はもう眠ってしまっていた。

「皆、七海さんに礼!」

「「「ありがとうございまーっす!!いただきやす!!」」」

「ふふっどうぞ。」

七海もたくさんの人に自分の料理を食べてもらえるのが嬉しいのかいつもより楽しそうに料理を作っているのだ。

こういう時は香南が帰ってこない。

だからゆっくりとanfang話に花を咲かせることができる。

「いやーアルバムよかったよな。流石anfangだぜ。」

「アレンジ、良かったよね。」

「俺twilight orionのアレンジすっげー好きでした!」

「なつにーちゃん一気にポップな感じにしちまったもんな。俺びっくりしたもん」

美羽も部活から帰ってきてご飯を食べながら話に加わる。

瑠唯は話を聴きながらうんうんと頷いていた。

「しかし次はツアーか…すげえよな。」

翔がため息をつきながら呟く。

「にーちゃんたち、結局特典ってなんだったんだろう…」

「隠し事得意だからなあ。とくにあまにーちゃんとか。絶対言ってくれなさそうだけど…ななちゃん知ってる?」

「えっ?」

七海は突然ふられ驚くがそれだけでない。少しどもっている。

「えっもしかしてななちゃん知ってるの…?!」

「七海さん!?」

皆が驚いているが七海はそれに対し苦笑するだけだった。

「うーん、周さんが言ってたこととつながるのかはわからないけれど、これ以上言えないの。ごめんなさいね」

全員が残念そうに俯く。

とうとう七海までもがanfangの仲間入りしたような笑顔。

自分の姉ながら流石香南の奥さんやってるだけあるなと瑠唯は思った。
















「ななちゃん、今日もありがとう」

皆を送った後瑠唯は七海にお礼を言った。

「何言ってるの。瑠唯の友達が嬉しそうにご飯を食べに来てくれてうれしいのよ?友達とは少し違うけれど」

嬉しそうにほほ笑む七海に瑠唯はほっとした。

ソファに体育座りをした瑠唯の隣にお茶を持ってきて座る七海。

美羽は明日朝練習があるからともうすでに寝てしまっていた。

お茶を飲み終わるも瑠唯はなかなかソファから立とうとしなかった。

「…どうしたの?」

「…ななちゃん、僕ね凄く変なんだ。」

瑠唯が膝の部分で頭をかくしぼそぼそと話し始める。

「今の状況多分、世界で活動しているどの歌手よりも幸運な状況だと思うんだ。」

「うん。」

「けどね、凄く、すごく不安でたまらないんだ。」

それは小さな一歩を踏み出す時の大きな不安。

今まではとにかくがむしゃらにやってきた。

そしてレコード会社で1位、2位を争うネクストに入ることも決まっている。

ようやく少し安心できると言うところでふと我に帰る。

自分のやってきた行動は周りを大きく巻き込んでいる。

これで失敗したらどうなる?

自分だけではない。自分の言葉に乗ってくれたメンバー3人にも迷惑をかける。

その重みが少しずつ瑠唯の心に圧し掛かっていたのだ。

「今一番喜ばなければならないのに、一番駄目な状況になってる。」

瑠唯ははっとして立ち上がる。

「ご、ごめん。こんなこと、僕、もう寝るね。」

瑠唯も朝早くから勉強しなければならなかったのだ。

しかもこんな愚痴七海に言っていいわけがない。

「瑠唯、」

颯爽と部屋へ帰ろうとすると七海が瑠唯に呼びかける。

振り返ると七海が瑠唯の方へ向かってきた。

そして手をポンポンと頭の上を撫でる。

「大丈夫。」

「ななちゃ、」

「大丈夫よ。大丈夫。」

七海が瑠唯に微笑みかける。

瑠唯は目を閉じてそのあたたかさを感じる。

昔、香南も感じていた不安を瑠唯も抱えている。

神様なんていないけれど、それでも七海はこの言葉をかけてあげたかった。

香南と同じように。












初夏、anfangツアー最終公演にlugnerメンバーは招待されていた。

もちろん七海、美羽、一樹そして琴乃となんと玲人も呼ばれていた。

「こいつらね?瑠唯のバンドメンバーは」

琴乃に話していたが対面したのは今回が初めてだった。

メンバーは誰か知らないため首をかしげていた。

「この人はななちゃんの親友のことちゃんです。」

「はじめましてがきんちょ達!ライブいけること楽しみにしてるわよん」

「はあ、」

「よ、よろしくっす…」

琴乃の勢いに引き気味のメンバー。

大人になっても琴乃の元気は変わらないのだ。

「琴乃さーん!こっちー!」

「はいはい!!じゃあねん!」

まるで嵐が去ったような脱力感がきた。

「すげえなあの人…」

「ことちゃんは明るくていつも元気をくれるんだよ。」

「元気過ぎだろあの人…」

ほとんどが初めてのanfangのライブだったため緊張していたのに、ライブを見る前からすでにつかれてしまっていた。

それでも客がどんどん席についてくるのを見たりBGMを聴いていたりすると徐々にテンションもあがってくる。

いつしかメンバーは時が訪れるのを早く早くと待ち望んでいた。



連続更新頑張っております(笑




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