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lucid love  作者: 朱希
本編
13/25

11

そして君の勇気に







一歩近づけると思うんだ







君は僕の







憧れだから









lucid love 11










夏流が朝起きるとすでに朝食が用意されていた。

「あ、なつにーちゃんおはよう。あまにーちゃんは今シャワー浴びてるから。」

「これ、みうみうが用意したの…?」

そこにはホカホカの白ご飯、味噌汁、鮭と日本の朝食ときたらこれ!と言われるようなものが並べられていた。

「あ、もしかして洋食だった…?」

片付けようとする瑠唯を慌てて制する。

「待って待って、違うよ。僕たち基本何でも食べるから。ありがとー!」

まさかこんなにも瑠唯の料理レベルがアップしているとは思ってもみなかった夏流だった。

「夜僕たち基本的に帰ってこないから夜ご飯は僕が作って置いておくよ。」

周もシャワーから帰ってきて3人でご飯を食べる。

「あっ僕作るよ。疲れているのに申し訳ないし。」

「いやいや、瑠唯に負けてらんないからね!その分朝ご飯はよろしくね?」

「うん!!」

少しずつ笑顔を取り戻している瑠唯に安心した夏流と周だった。









学校へは行かなければならない。そう思いいつもと違った時間に登校する。

いつもと違う道にものすごく違和感を覚える。

それでも、歩かなければと瑠唯は首を振りながら足を進めた。










教室へ入ると翔が飛び出してきた。そして瑠唯の肩をがしっとつかんできた。

「おい瑠唯無事だったんだな!?」

「・・・え?」

瑠唯はわけがわからないと頭にはてなマークを撒き散らしていた。

「昨日、美羽から電話かかってきたんだよ。お前がいなくなったって。よかった。」

ほっとした様子で瑠唯の肩をたたく。

瑠唯が言葉を発しようとすると突然後ろのドアが開いた。

音にびっくりすると美羽だった。

「み、う…」

下を向いている美羽は顔が全くわからなかったが、どしどしと音が鳴るような勢いでこちらに向かってきた。


そしてまっすぐ瑠唯の方を見たかと思うと思いっきり瑠唯の顔を殴り飛ばした。


殴られた瑠唯は受け身の体制もしていなかったため後ろの机に倒れる。

しかしそれにお構いもせず美羽は瑠唯に馬乗りになり服を持ち上げ瑠唯に顔を上げさせる。




「心配したんだからなっ!!!!このバカっ!!!!大バカ野郎!!!」





瑠唯の胸で泣く美羽、その後ろで安心した様子の翔を見て瑠唯は自分がどれだけ沢山の人に迷惑かけたのか初めて感じていた。





「ごめんっ、ごめんなさいっ」










殴られ頬が腫れあがったので美羽と翔についてきてもらい保健室へ行く。

養護教諭に治療してもらい保健室を出ると瑠唯は二人の方を向く。

「少しだけ、時間いいかな?」






二人には話しておかなければならないと思ったのだ。








それから屋上へ行き昨日までの出来事を話した。

美羽は知っていることもあったがそれでも昨日のことも全部話した。

ずっと前から憧れている音があること。

それを自分でも挑戦してみたかったこと。

けど自分の兄に反対されていること。

それでもやりたくて部活に入ったこと。

もちろん姉と兄には秘密にしていたこと。

しかし自分の不甲斐なさで成績が落ちてそれがばれてしまったこと。

色々話しあってつい反抗して家を出てしまったこと。

今は兄の友達の家にしばらく身を置かせてもらうこと。






「その兄の友達は僕の家族みたいなもので、とても心配してくれてる。僕が趣味で終わるのか、それとも本気でやりたいのかじっくり考えなって言ってくれて…」

「そうだったのか…」

「ごめんね。なかなか話せなくて。僕、どうしたらいいかわかんなくて。」

泣きそうになる自分を必死に抑え下を向く。

「瑠唯。そんな時のために俺たちがいるんじゃないのか?」

「…え?」

瑠唯が顔をあげると翔がにこっと笑っていた。

「俺や先輩達、それから美羽だっているじゃねえか。皆で考えようぜ?とりあえず一生懸命やってみるんだよ。それから皆で進めそうだったら頑張る、駄目だったってまだまだ時間はあるんだし。」

な?と瑠唯の肩をたたく。その言葉に美羽が大きく頷く。

「そうだね。俺だってテニスやってるけどプロになれるかどうかなんて全くわかんないんだぜ?それでも一生懸命やってる。上を目指して。お前も今この時間だけは上を目指してやってみれば?その後の事はその時一緒に考えてやるからさ。」

瑠唯の目にはまたもや涙があふれてきた。

「ほら涙ふけって。あと教室にあるんだけど、ななちゃん、お弁当瑠唯の分も作ってくれてるから。後で取りに来いよ?」

「ななちゃんが?」

一度涙は止まり美羽を見る。

「ああ、多分作ってないだろうからって。ビンゴだろ?」

「・・・うん。」







弱いままだけど僕にはこんなに素敵な兄弟や友達がいる。






それがただただ嬉しい瑠唯だった。











放課後部活へ行くと早速メンバーの人たちに自分の事情を話した。

自分なりに本気ですると言うことを示すためには言わなければならないと思ったからだ。



「僕、頑張ります。この先の事はわからないけれど、今はやってみたいんです。だから、ライブハウスでのライブ、引き受けたいです。」




「お前…」

「わかった。俺たちも一緒に頑張らせてくれるかな?」

明の言葉に瑠唯はほっとする。

「はい!」







それからというものlugnerは月に1、2回のペースでライブをすることとなった。夏休みなんかは毎週のようにしていた。

たちまち知名度を上げることとなりライブの人気は上々。

いつの間にかライブハウスのトップバンドとなった。






気づけば秋。あっという間に季節は巡っていた。






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