表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放されたので隣国乗っ取って取り返しに行く系王女  作者: サイリウム


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/15

4:町ですわ!


とまぁそんなわけで服が完成。


その後は日も沈んできましたので見張り番を立てながら就寝し、日の出と共に起床。再度周囲を探索することで川を見つけ、それに沿って移動。ちょうどお日様が真上にやってきた頃に町に到着することが出来ました。まぁなんか防壁で囲まれてますし、サイズも結構大きめですから町と言うより都市なのですが。


そんなわけで普通の服を手に入れるため、我がメイドであるジェーンを派遣したわけなのですが……。



(めっちゃ不安。)



い、いやね? 信頼してないわけじゃないんですのよ? ただちょっと……。


今回ワタクシが手ずから用意した服は、白一色のちょっと目立つ感じの奴です。ただまぁどこの世界、どこの時代でも服飾センスが終わってる方は何処にでもいますし、この世界にも古代ローマっぽい時代があったことは把握しております。故に突貫で作った白一色の服、トガっぽいなにかで都市の中に入ってもそうおかしなことではないのですが……。



「変なことにならなければいいのだけれど。」



そんなことを呟きながら、町の中へと視線を移します。


現在ワタクシが陣取っているのは、この町を一望できる高台。ジェーンが無事に中に入れるか門付近を見下ろせる場所を探していた所、見つけた感じです。彼女が帰ってくるまでここでキャンプ、ってわけですわね。



(……あ、ちょうど順番が来たみたいですわね。距離があるので解りにくいですが……。あ、無事入れましたね。)



出入り口にて並んでいた米粒のように動く白いジェーンの姿を眺めていると、特に問題なく通過。おそらく服装以外咎めるものが無かったので、入れてもらえたのでしょう。


警戒のためその後も門番たちの方を眺めてみますが……。特に動きはなし、詰所らしき建物から兵士たちの出入りも確認できませんし、確実に『問題なし』として処理されたようですね。うんうん、これで第一関門は突破ですわ! 『不審者として確保される』可能性がぐっと減りました!


ま、身元に繋がるような品々はワタクシが預かってますし、武器もゴブリンから奪ったナイフぐらいしか持たせてません。それぐらいの武装ならばよくある事ですし、少なくとも『正体が露見する』ことも多分ないでしょう。後は服屋に直行して適当なものに身を包んでしまえば、市民に紛れ込めるって寸法です。


ワタクシに出来ることはもうありませんし、後は彼女の帰りを大人しく待つとしましょうか。



(……にしても彼女、一体何者ななんでしょうね?)



いや身元とかそういうのは把握してますわよ? 結構長い付き合いですから人柄もわかってはいるのですが……。



(ただのメイドがこの書類鞄担いで海峡渡れるかっていうと……、うん……。)



ゴブリン討伐の際にワタクシが使用したこの“鈍器”。


見た目は普通の皮の鞄ですが、中に高品質の鉄板を入れ込んだ特別製となっております。まぁつまり結構な重さを誇るわけです。んで国外脱出時はこの中に結構な量の書類が入っていて、水没済み。


これを抱えながらメイド服で転覆して、結構ギリギリになりながらも普通に生き残る。春先で比較的マシとはいえど、あの“ドーバー海峡”を。


……お前ほんとにただのメイドか?



(仕草とか体重移動とか何処からどう見ても非力な女性の動きなのですが、非力な奴が鉄板入りカバン持ち運べるわけがねぇだろっていう。)



これが軍人ならまだ解り……、いや解りませんわね。いくら鍛えてても鉄の塊持って海に飛び込んだら溺れますわ。普通に。


いや確かに彼女も貴族の娘。魔力持ってる奴に大体爵位を与えているこの世界であれば、彼女も魔法が使用可能。身体強化で一時的にバフを受けることが可能な筈ですが……。あの子、魔力かなり少ないんですよね。体から魔力が全然感じられませんし、確実に長時間は無理です。


というかそれぐらいのバフ掛けれるんなら軍にぶち込まれそうですし、家で囲われててもおかしくありません。



(あの子、四女だから捨てられた~! って言ってましたものね。となると“そういう”可能性が出てくるのですが……。)



ま、特に問題ありませんわね。


スパイとかならワタクシが暗殺されてないとおかしいですし、敵ならわざわざ一緒に国外脱出する必要もありません。船ひっくり返した後にワタクシの足に鞄結び付けて鎮めればいいだけの話ですから。


それをしてないのならば、味方。


というか“懸念”がある者なら手元に置きませんもの。


多分アレでしょうね。母上こと女王陛下が『即位したときに教えてあげましょう』って言ってた我が国の暗部ってやつでしょう。情報がかなり制限されていたのでウワサ程度しか知らないのですが、貴族の子女とかそこら辺にいる孤児とかを連れてきて教育を施し、世界中に放ってたりするそうです。


というかあの子、母上の推薦でワタクシの傍付きになってたはずですし。確実にそうなのでしょうね。どういう教育を受けたのかは知りませんが……



(ま。なる様になれ、ってやつですわ!)



どんな配下であろうと全て使いこなして見せるのが王というもの。


背後関係を“このような状況になっても”明かしていないということは、その辺りは未だワタクシにとって知るべきでない情報ではないのでしょう。ならば普段通りに接し、いつも通り使い潰して差し上げる! 服手に入れた後からが本番みたいなものですし、こっから更に気合入れて使いパシってやりますわよ~!!!



(と! そうこうしてる間に帰って来ましたわね! うんうん! 袋担いでますし、上手くいったみたいですわ!)



町の方に視線を向けていると、先ほどとは違う出入口から出てくるジェーンらしき姿が。


此方に手を振ったりというような行動はしておりませんが、此方に向かって真っすぐ歩いていることから確実に彼女でしょう。新しく増えた持ち物からも、“上手くいった”ことが伺えます。まぁ服一着だけ買ってきたと聞かれればちょっと荷物が多いような気もしますが……。


何か追加で買ってきたんですかね?






◇◆◇◆◇






「んで? 何買ってきたんですの?」


「あ、はい。とりあえずお求めだった適当な服と、近場の防具屋で売ってた一番安い装備一式ですね。冒険者の奴です。」


「……後々必要になる奴ですわね。」



“何故か違う髪型”のジェーンがひっくり返した袋の中を見分しながら、そんな言葉を交わします。


ワタクシとしては適当な服だけ用意して貰えればそれで100点だったのですが、彼女はそれだけでは足りぬと判断したのでしょう。追加で買ってきたものが幾つか並んでいます。どうやら胸部を守る簡単な皮防具と、この世界で一般的なポーション。回復薬を買ってきたようですわね。まぁランクと言いますか、質の低いものですので擦り傷程度にしか効かぬもののようですが……。



「別に後でも良かったのではないですか? ほら、ワタクシが合流した後とかでも。」


「いや私の服装思い出してくださいよ。色々あるんですって……!」



幾らゴブリンのアレが付着した服から逃れられたとしても、代わりの服は真っ白な奴です。船の帆を改造したものですから質感がちょっと違いますし、好奇の目で見られてしまうのは仕方ないというもの。


色々頑張って真っ赤な顔を素面に戻し、町へと突撃した彼女でしたが……。やっぱり限界があったようで。即座に町の古着屋に飛び込んだみたいです。



「『ウチの村の因習で変な服着せられて送り出された……!』って誤魔化しまして。町の友人と一緒に冒険者始める~って感じの話しながら見繕ってもらった感じです。あ、あの服その場で換金してしまったのですが大丈夫でしたか?」


「えぇ、問題ありません。」



どうせ浜辺に落ちていたゴミですし、今のワタクシたちに再利用するだけの伝手はありません。その古着屋? の方なら活用できるでしょうし、丈夫さだけなら一級品な船の帆は何かと使い道があるでしょう。話したカバーストーリーもそうおかしなものとは思えませんでしたし、問題が無いどころが逆に褒めてあげたいレベルです。


正直、ゴブリンの巣で入手した銅貨だけでは買えそうにない品々でしたので『死ぬまで借りる』みたいな犯罪者まがいのことをしてきたのかと……



「しませんが? というかどう思われてるんですか私。」


「ワタクシの大事な使いっぱしり。」


「そこはメイドにしてください。」



んで、普通の服と一緒に買ってきたのが防具と薬。


武器は質が悪く手入れされてませんがゴブリンたちから『永遠に借りた』のがありますし、必要以上の出費は要らないと判断し、これだけ買って来たってことなのでしょうね。うんうん、上出来ですわね! んじゃ早速着替えさせてもらいますわ!


ジェーン! このドレスしまっておいて!



「あ、はい。……この環境じゃ畳む以外の選択肢ないですけど、絶対跡残りますよね。メイド長にバレたら首切られそう。」


「確かに。学園に行く前は貴女、良く怒られてましたわよねぇ。気が付いたら城から抜け出してましたし。“その髪型”もその時に身に着けた知識なのかしら?」


「解ります? いや脱走しまくってると衛兵に顔バレるんですよ。でも髪型変えておけば意外にバレなかったり、発覚まで時間が掛かったりするんです。その隙に逃げるわけです。あ、そうだ。アデ様もやります? バッサリ切っちゃえば別人ですよ?」



い、いや。流石にそれは……。


ワタクシの髪は、かなり長めです。よくあるお嬢様の縦ロールとかはやってませんが、手入れは入念にやってきた代物です。やっぱ王族貴族って見栄の世界でしょう? みすぼらしかったら色々ダメなので気合入れて整えてきたものですから、普通に愛着が……。


ほ、ほんとに切らないと、駄目?



「だ、ダメではないですけど……。手入れされてるのは見る人が見ればバレますよ? 昨日難破しまくってたおかげでべたついてるのは確かですが、それでも“跡”は解りますし。」


「……布とかで何とかならない?」


「長さありますからこう、盛り上がりますよ? 不格好です。」



あ、ならそっちの方がいいですわね。


見た目が悪ければ悪いほど、人ってソイツのこと蔑みますでしょう? 少なくとも第一印象は下がるわけで、ワタクシが王家の人間。尊い人間であるという事実とはどんどん離れていくわけです。不格好万歳ですわ!


……いっそのこと、馬糞でも顔に擦り付けてやろうかしら。洗ったら落ちるし。



「アデ様ってたまに王族か疑わしくなりますよね。」


「今に限っては誉め言葉ですわ! あ、そうだ。姿勢も悪くしなきゃ。」



ジェーンからもらった服に着替えながら、ちょっと体を弄っていきます。


ワタクシって王女でしょう? 立ち姿から色々矯正されているので、ちょっと“整い過ぎて”るんですよ。このまま町に入っちゃえば姿勢が良すぎて『なんかオーラが違う……!』ってなっちゃうわけです。まぁそれが自然体で出来る様に教育されてるわけですから、出来ないと駄目なんですが……。


ということで思い出すのは前世の“私”! クソ溜めみたいなクズで卑劣で色々終わってる時の“私”! 猫背で体の重心がズレてて色々ダメな感じの……!



「よし、出来ましたわね。」


「うっわ。……え、王女様ってそういうのもするんですか? 急に別人と言うか、このまま放置してたら体壊しそうというか。」


「矯正前ですわ!」


「……アデ様の教育係の方、頑張ったんですね。あ、そこまでやるなら口調も変えたらどうです? もっと気易い感じに。」


「無理ですわ!」


「なんで?」



い、いや実は幼少期に叩き込まれたせいで、これ以外離せなくなったと言いますか……。


ほらワタクシ、神童扱いされてたでしょう? 言語は何故かあらかじめ習得済みでしたし、数学関連は前世の経験が使えます。そんなわけで幼少期の教育は一部免除と言いますか、教育係を逆に教えるみたいな状況になっていたのですが……。そ、そのせいで時間が余りましてね? 終わってる姿勢とか口調とかをんもう強烈に矯正されたのです。


お、お陰様で意識しててもしなくてもこの話し方しか出来ませんわ~~~!!!!!



「なので『お嬢様ムーブしてる頭のおかしい奴』という感じで行こうと思います! 今後もこの喋り方なので救えない可哀想なものを見る様な視線を送ってくださいましね!」


「えぇ……。」



んじゃ! “友人”のジェーンと冒険者に成りに行くとしますか!




〇アデ様の教育係


本人によると『前世アレだった』とのことなので、その反動なのか暴走しがちだった彼女。そんな彼女の教育係の1人。実質コイツを“王女”に仕立て上げた張本人。担当は作法全般。


王族や皇族が生まれながらに持つ雰囲気。立ち振る舞いなどから生じる特異なソレを発することがほぼ不可能だったアデ様(前世の生まれ庶民で色々終わってたため)。それをスパルタを超えた何かで叩き直した化け物でもある。


そのせいか彼女に対し未だアデ様は頭が上がらない様子。


『親しみを持たせるため』に姿勢を崩したり、たまに素を出したり。エセお嬢様っぽく話すことは許可されていたが、それ以外は違反した瞬間に制裁。体で覚えさせられてしまっている。一定時間なら無理矢理違う話し方も出来ないではないが、時間経過と共に体の震えと悪寒が発生し体調が著しく悪化するため基本的に不可能。


ほ、ほんと無理なんです。ば、婆やの幻影が! 窓に! 窓にィ!!!!!







感想、評価、お気に入り登録。どうかよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ