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追放されたので隣国乗っ取って取り返しに行く系王女  作者: サイリウム


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12/17

12:兵集めですわ!


「おぉ貴族。ようやく……、いや早いな。まだ国出てから13日ですよ?」


「ワタクシからすればノロノロさんですわ! とってもスローリー! RTA走者の皆様に笑われてしまいますもの! もっと急いでいきましょう!!!」


「……会話選択肢ミスった?」



というわけでこのアデライード様が教える超簡単な貴族の成り方!


戦場でクッソ武功を立てる!


以上! 閉廷! 解散!



「前も言ってましたね。ちょうど今戦争してるみたいですし、それに参加するので?」


「いーえ! 他のを狙いますわ!」



現在ワタクシたちの近くで起きている戦争は、ドンエーニュ王国(A)とリーアン王国(B)の領土問題を原因とする戦いです。確かにこの戦争がまだ続くのであればBの方、先日負けちゃった落ち目の方の軍勢に参加し、その勝敗をひっくり返してしまえば簡単に爵位を頂けそうなのですが……。


以前言ったように、ワタクシが欲しいのはAの方。ドンエーニュ王国です。こっちには“カレー”ことカレリア。我が母国に一番近い港がございますからね。国に舞い戻りサキュバスどもをブチ殺すのには最適な国なのです。超ほしいですわ!


んでこの国をゲッチュするには……。



「敗北濃厚な戦場が必要、と?」


「その通り! そしてその条件はそろってますわ!」



先の戦いにおいて勝利したのはA、ドンエーニュ王国ですが……。その内容を見る限り、決して“完勝”と呼べるものではございませんでした。言えむしろ『勝負には勝ってるけど実質敗北』な戦いです。


何せ戦死者2000名、敗北したはずの相手の約2倍の死者を叩き出しているのです。めっちゃヤバいやつです。この世界の人の命は驚くほど軽いですが、畑で人が取れるわけではございません。クーされる前の情報には成りますが、ドンエーニュ王国の総動員兵力予想は15000ほどだったはず。搔き集めようと思えばもっと出来るでしょうが、この負け方は本当にマズイ。



(あの場にいた将が誰かは知りませんが、掲げられていたのは王家の紋章。王族か王本人か、もしくは信任を受けた将軍か。どちらにせよ“威信の失墜”は確実です。)



王の力が弱まるのです。国は荒れるでしょうし、貴族も好き勝手し始めるでしょう。


そしてそんな醜態を世間に晒してしまえば、攻め込んでくるのはいるわけで。



「史実におけるフランス、大陸の雄と名高い『セヌリア王国』が動いてもおかしくありません。というか絶対動く。私ならそうするし、あちらの現王もそうする。」


「ふ、ふらんす……?」



この世界における“フランス”はまだ地中海側。所謂南側しか納めていない王国には成りますが、その広大な領土と肥沃な土地は純粋な脅威です。金があり、人を増やせる土壌がある。以前母上から聞いた話によると、少なくとも50000程であればかなり早期に動員できるという試算があるとのこと。


そして現王の領土欲の強さも、聞き及んでおります。



「西の神聖ローマこと、なんかよく解らん奴らが集まってるだけのローマじゃない帝国は烏合の衆ですから放置で問題なし。つまりワタクシが乗っ取るべきドンエーニュ王国は、“フランス”に攻め込まれるわけです。」


「ろ、ろーま??? と、とにかくその戦場に向かうってことですよね。となると国境線はここから南にあるからそっちまで……」


「えぇそんな感じです。」



“フランス”からの侵攻を華麗に撃退し、爵位をゲットする。


14世紀“イギリス”の民がフランスの侵攻を跳ね返すなんて逆火刑魔女かと突っ込まれそうですが……、まぁその辺は置いておくとしましょう。それっぽい“本物”がどっかにいそうですし、藪蛇をつつく必要もありません。


して、話を戻しますが……。



「ジェーン! 今のワタクシたちに必要なものが解るかしら!」


「え、いるものですか? ……武器も食料もありますよね? 正直アデ様が遠方からこの武器を弓みたいに投射し続ければどんな戦にも勝てると思うんですけど。ほら大砲みたいに。……あ! 人間砲台!!!」


「あ、うん。それでもまぁ勝てるとは思いますが、違います。」



必要なのは人。ワタクシ以外の兵士です。


確かに武功を上げれば爵位を手に入れることが出来ますが、それには前提条件があります。貴族というのは人の上に立つ者、自身の領地を持って管理運営したり、軍を率い敵を打ち倒す者たちです。まぁ早い話、『こいつ人を動かす能力ありそうだな』ってのが必要な訳ですよ。


まぁ色々例外はありますし、固定砲台だけでも戦況をひっくり返せば爵位はもらえると思うんですが……。



「ワタクシたちの目標は“貴族”ではなく“王位”です。『今いる貴族と王族全員ぶっ殺したから私が王様な!』も超がんばれば出来るかもしれませんが、その後の管理が終わります。強さを示し、コイツなら付いて行ってもいいなと思わせる。そういう指揮能力を広く知らしめる必要があるのです。」


「はぇ~。すごく王っぽい。」


「次期王女ですのよ!!!」


「元では?」


「おごッ!? ……くッ! やりますわねッ!」



ワタクシにダメージを与えるとはッ! 恐ろしい子ッ!!!


とまぁそんな感じです。敵を蹴散らして力を示し、仲間を率いることで王としての器を示す。ちょっと面倒ですが、2週間前まではワタクシも王女だったのです。コレぐらいできなければ女王になる資格などなかったということ。


気張りませんとねッ!



「……んで、兵士はどうするので? 必要なのは解りましたけど、何処で集めるのですか? そもそも何人くらい? というか集められるんですか? 今の私達って何の権威もないですよ?」


「でも“金”はあるでしょう? ……“買う”んですよ。」



あまり数を多くし過ぎると軍に合流した際、『○○家が用意した兵士より数が多いなんて怪しからん!』みたいなことを言い始める変なのに目を付けられる可能性があるので、一般的な傭兵団の数を参考にし50を目安に。ワタクシを何かしらの兵科に分類するとなれば歩兵ですから、全員それで統一するつもりです。



「戦争状態ゆえにどこも徴収を受けて人手不足でしょうが、いつの時代でも“あぶれる”者はいるのです。誰からにも必要とされない様な三男四男あたり、所謂何も相続できない哀れな働き手ってやつですわね。」



それぞれの村にも、キャパシティと言うものがあります。


前世の日本のように腹持ちが良いコメが存在しないこの大陸に置いて、主食は小麦。生産できる数が少なく摂取できるカロリーもそこそこ、腹持ちは微妙な穀物です。美味しいのは確かで手間がかかりませんが、『同じ広さを耕した際に養える人数』はどう足掻いても米に勝てません。


開墾し農地を増やそうにも、魔物と言う面倒な存在がいるため難しい。つまり働こうにも耕す土地の無い三男四男あたりは時機に放り出されるわけです。そういうのが冒険者とかに成るわけなのですが……



「そうなる前に刈り取っちゃいましょう! 村のまとめ役にいくらか払えば快く“譲って”くださいますし、彼らも衣食住さえ保証すれば帰る場所などないが故に喜んでついて来てくれるでしょう。あとは“パワー”を見せつければ、ね……?」


「あぁはい。確実でしょうね、うん。怖いし。……でもそんな伝手無いんじゃ?」


「あるでしょう、そこに。」



そういいながら指差すのは、地面に転がっている芋虫。


もとい縄でぐるぐる巻きにされた村人たち。


えぇ、襲い掛かって来た盗賊は町で“処分”しましたが、こいつらは利用価値があるので残したんです。なにせワタクシたちが欲する“伝手”そのものなのですから。


ふふ、色々うるさかったので目を覚ました瞬間に気絶させ続けたかいがありました! こう首をコキッとしたり、目を覚ました瞬間にドアップで笑いかけながら拳を叩き込んだり!


叩き起こして案内させればカンペキ! ようやく活用できますわよ~!



「か、可哀想……」


「こいつら女だから奪えるだろって襲い掛かって来た奴らですわよ?」


「……いやそれでも可哀想では?」







◇◆◇◆◇






「そ、それはウチの者たちが大変失礼をいたしました。何卒、何卒ご容赦頂けると……。」


「構いませんわ~!」


「(……なんかめっちゃへこへこされてません、アデ様? バレました?)」


「(いえ? 単なる勘違いでしょう。これだけの物資運んでたら、ねぇ?)」



というわけで到着したのが不届き者たちの村。


先日戦場となった地へと舞い戻り、回復させてやったミノムシどもに道案内をさせ辿り着いたのがここなのですが……。村の責任者に繋いでくれと住民に伝えれば、お出しされたのは土下座するおばば様。う~ん、ちょっと物々しかったですかね?


けれどまぁ、気持ちは解ります。


現在のワタクシたちは馬車5台、馬8頭を連れた大部隊です。人間は2人しかいませんが、その価値はかなりのモノでしょう。そもそも馬って経済動物ですからね。めっちゃ高いんです。そしてそんな高級品を絶った二人で運用できるということは……、その人間がかなり強いか、ただのアホのどちらか。



(村の人間がグルグル巻きになって捕まっている時点で、前者一択でしょうねぇ。)



かなり強くて、超お金持ち。こうなるともう貴族ぐらいしかありえません。


この世界の貴族の立場って段違いでして、普通に村人切り殺してもOKというか、その土地の持ち主である領主に『そっちの備品壊しちゃってごめんね♡』のお金を払えば大体何とかなる感じなんです。というかそういう金銭のやり取り以前に『お前んちの備品がめっちゃ無礼なんだけど! こっちで切り殺したけどストレス感じたから賠償金払え!』という方が多かったり……。


まぁそんなわけで、複数の馬車で移動していることから補給を担当する爵位もちの誰か。最悪自分たち全員が無礼打ちされるからもう謝るしかねぇや! って感じなのでしょう。言い訳しても『口答えするな!』で切り殺されるとかあるみたいですし。


ま! “利用できる”勘違いなのは確かですわ! 今から“徴兵官”っぽく振舞いますわよ~!!!



「寛大なお心に感謝いたします……!」



そんなことを考えながら、おばば様。村のまとめ役らしい彼女に気にしてないと手を振ります。


かなり従順そうにしておりますが、こちらへの好感度は皆無。おそらく昔からこの辺りはかなり搾り取られてきた村なのでしょう。生き残るための術として頭を下げているが、もし“ひっくり返せる”機会があればすぐに行動に移すタイプ。微塵も貴族に対する尊敬の念とかがございません。


まぁワタクシは彼女の村が所属する国家の貴族ではないためどうでもいいと言えばそうなのですが……。国盗りを完了すればワタクシの民になる存在なのは確か。少なくとも好感度がこれ以上下がらないようにふるまうことにいたしましょう。



「いいんですのよおばば殿。しかし“戦場漁り”はどこの国でも褒め称えられるようなものではございません。村の総意として行ったのか、彼らが独断で行ったのか。どちらかは話明かりませんが……。今後の教育に期待しますわ!」


「ははーっ!」


「(死体漁ってた人が何か言ってる、おもろ。)」



ジェーン! 顔で解りますわよっ!


とと、本題本題。



「して、此度の訪問の理由ですが……。現在ワタクシは兵を欲しております。男でも女でも構いませんわ。手ごろな人では残っていて?」


「……大変申し訳ございませんお貴族様。あの、よろしいでしょうか。」


「構いませんわ!」



自分から意見とか言ってもいいですか? と聞かれたため全然大丈夫、と返します。


するとおばば様から出てくるのはある意味想定通りの返答。


やはり前線から近いこの村でも徴兵が行われたらしく、十数人の働き手が連れていかれたとのこと。女子供や老人、一部の働き手はそれから逃れることが出来たそうですが、これ以上連れていかれると今後の村の存続に問題が出るレベル。これ以上はご勘弁みたいですわね。


まぁ一度徴兵された兵って自分の村に帰れる可能性死ぬほど低いですからねぇ。戦場で死ぬのが基本ですし、あまりにも長い距離を移動した後に現地解散されたため帰り道が解らなかったり、もうその場で新しい生活始めちゃえってする奴もいたり。貴族によっては自分の民と一緒に帰る人もいますが、まぁ基本的に帰ってこないと考えておいた方がいい奴です。


期待し過ぎは厳禁、ってやつですわ。



「ま、想定通りですわ。……じゃあこの3人も返した方がいいのかしら?」


「あ、いえ。お好きになさっていただければ。この者たちは“勝手に村を抜け出した”者どもです。村におっても追々処罰されるだけでございます。お貴族様のお手を煩わせるわけにはいきませんのでこちらで処分すべきなのでしょうが、もし何かしらの役にたつのでしたら……。」



そう言うおばば。


ちょっと気に成ったので芋虫の彼ら、この村の人間たちの方に視線を向けてみますが……。めっちゃ涙目になりながら首を横に振っています。口に詰め物して縛ってますからうめき声すら上げられないんでしょうけど、全力の否定を決めてますわね。


……村の総意として、外貨を手に入れるために派遣されたのが彼らでしょう。戦場で拾ったものを金に換えて村に還元する。けれど失敗して貴族に目を付けられた瞬間に、“村の為に切り捨てる”。う~ん、ドライ。でも生き残るためには正しい選択ですわねぇ。


ま、本音を言えば『そもそもこの村の人間ではない』と言いたかったんでしょうけど、ワタクシが決め打ちして話しちゃいましたからね。その前提で出来る限り被害を少なく、ってかんじなのでしょう。



「あらそう? ならありがたく貰っておきましょうか。少しでも数が多ければいいものね。……あ、そうそう。貴女の素晴らしき献身を評価し、褒美を取らせますわ!」



そういいながら後手でジェーンに指示をだし、手を叩きます。すると素早く動き出した我がメイドが革袋に金を詰め、おばば様に手渡し。“村で人手を買った時、その相場の5倍”ほどを包ませて頂きました。


ま、本当の“徴兵官”ならそんなの要らないですけど、やっぱり何かしらの対価が合った方がいいですからね! ついでに口止め料も含まれてますわ~!



「さておばば殿。解っておりますわね?」


「……これは! ……もちろんでございます。この婆も年で御座いまして、最近物忘れが激しいのでございます。それにその者たちも農家の三男四男、耕す土地もない者たちです。いずれ冒険者にでも成っていたでしょうし、消えて困るものなどおりますまい。」


「話の分かる方は大好きですわ! あ、そうそうおばば殿? 簡単なこの辺りの地図、どの方角にどの村があるか程度の物を貰えますかしら? “急なお役目”でしたもので前任者様から地図を頂いていないの。解る程度でいいですし、それにも何か包ませましょう。よろしくて?」


「えぇえぇ、もちろんでございます。」



よし! これで兵士ゲッチュですわね! ほんとはこの村で追加に4,5人欲しかったんですけど、無理なものは仕方ありません。こうやって情報ももらえましたし、戦場になるであろう南の国境線。そちらに向かいながら兵士をかき集めていくとしましょう!


さ、芋虫改め我が兵士たち! もう貴方たちの帰る場所はワタクシの元以外ありませんわ! ちゃんと言う事聞くんですのよ~!!!





〇徴兵官


徴税官のように、徴兵を行う役人。貴族に仕える兵士などが任を受けて仕事を行うが、貴族がその任につくこともある。軍務の一環でもあるため『前線(に近い村)に赴いてお仕事(村から兵を連れて来るだけ)に従事しました!』と周囲に言える。箔が付くかもしれない。


なおこの世界は人の生活圏以外は魔物が跋扈しているため、人の行き来はかなり少ない。つまり村人たちが自分の村の外に出ることは非常に少なく、情報も入って来ないため『目の前にいる徴兵官が自国の人間かどうかを識別する』のは結構難しい。故に敵国に勝手に入って敵国の紋章を掲げ、勝手に兵士や物資を持って行く作戦もあったりする。敵側もそれを想定して動いているので先んじて集めたり、待ち伏せして倒したりなどなど。


まぁ村の人間からすれば両者ともに『来るな』であり、迷惑でしかない。労働力や食料を奪っていく敵みたいなものだが、逆らうための力が無い感じ。故にもしその相手が徴兵官に見えなくてもお金や物資を分け与えてくれるのならば……『見なかったことにする』のも十二分にあり得る話だ。







誤字報告大変ありがとうございます。

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