表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ボーナスタイム

作者: 小雨川蛙
掲載日:2026/02/04

 その日は突然訪れた。


「いつも通りだったのにね」


 君の言葉に僕は頷く。

 突然のことなのに君はすぐに仕事を休んでくれた。

 幸いなことに君の会社は理解のある会社だった。


「上司の方が泣いてたよ」

「そうなの?」

「うん。なんかよくわからないけど、自分のときはそんなにしっかり受け止められなかったんだって」

「あー、なるほど」

「まぁ、普段通りにしか見えないしね」

「うん、本当に」


 そう言いながら僕は自分の頭上に浮かんだ数字を見る。


「残り3時間を切ったね」

「うん」

「どう? 実感ある?」

「いや、それがさっぱり」


 気恥ずかしくなるくらいだ。

 だって、事故の原因だってほとんど僕の不注意だし。


「だよね。私もそう。だけど……」


 君はそう言って走り書きのメモを見せてくれた。

 事故の第一報を受けて書いていた走り書き。

 そこに書かれていた僕の死と。


『ボーナスタイム 開始』


 の文字。

 ある日から始まった神様の細やかなサービス。

 突然死した人が他の皆に会うことのできる優しい時間。


「ボーナスタイムだって」


 君は笑った。

 まだ受け止めることができないまま。


「他の言い方、ないのかね」


 僕はいつも通りの返事をした。

 少しずつ減っていく貴重な時間の中で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ