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第1章 島の朝
朝、窓辺の青い布が風に揺れていた。
その揺れに合わせるように、胸元の雫形のペンダントの中で、小さな鈴がかすかに鳴る。
私はその音で目を覚ます。
ペンダントが淡く光を返しているのが見えた。
机の上には、小さな存在が置かれている。
丸い石のようでいて、けれど石ではない。
触れるたび、不思議と温かさを帯びていた。
外から島の人々の声が届く。
私はその声に導かれるように外へ出た。
市場では、かごから野菜を取り出し、机にそっと並べていく。
土の香りがふわりと立ちのぼり、色とりどりの実りが少しずつ形をそろえていく。
「もう少し端に寄せてくれるかい?」
声がかかり、私は言われたとおりに手を動かした。
笑い声が混じる。机の上が少しずつ整っていく。
「助かったよ、ありがとう」
その言葉と一緒に向けられた笑顔を見た瞬間、
胸元のペンダントが、かすかに光を帯びた。
日が暮れる頃、青い布に夕陽が差し込み、部屋の中がやわらかく染まっていく。
私は机の上の小さな存在を見つめていた。




